No.37 2003.10"Миллион звезд" ミリオン・ズビョースト/百万の星

文学も世界文化の一部

ロシア極東国立総合大学函館校 教頭 アニケーエフ・セルゲイ

外国語を学ぶ上で、その原語で書かれた文学作品を読むことが非常に役立つ学習方法のひとつとされている。しかし、学習する外国語のテキストの文章をいかに読み、いかに理解するかという点についてはそれなりの勉強が必要である。
言語はそれを使用している人々の文化や生活とは切り離せないものである。言語は、言語を支えている文化、言語が表現しようとしている生活と一体をなしているからである。
一般的には、外国語のテキストや文例などが本当の意味で無味無臭無色になっているのが現状である。だからこそ外国語をマスターしたいと願っている人、その言葉の理解力を向上させることを望んでいる人は、文学作品を原文で読むことにあこがれる。特に、その国の文学者が作った名作の一節でも、ほんの少しでも生の言葉で味わうことができれば最高であると思っている。その意味で、外国語を教える側には、その国の言葉の単語や文法の説明を詳しくすることだけでなく、その国の文化を集約した文学を指導することも必要である。今述べた「文化」のことだが、一口に異文化というが、これはまさに人間生活の全般-食べ物から礼儀、習慣まで、言葉から物の見方、考え方、価値観まで-に及ぶ。
文学作品の文章によって表現される世界も多様になり、複雑にもなる。そのような世界を理解しながら語学の学習を続けてもらうために、文学の重要性をあらためて強調しなければならない。文学は芸術のひとつであるとよくいわれる。しかし、芸術または文学とは何であろうかということを考えてみないとだめである。
芸術、特に文学というものは、ときに「秩序」を破壊する力として社会に働くものであるともいわれる。しかし、そういう時に、「秩序」つまり文化体系の全体(システム)はあくまでも人間の生活にとって手段でしかない。人間は欲望や理想を追求することがその本質であり、手段が目的化することはない。人間の生命本来の力を主張するという目的をこそ追い尽くすものだ。
文学作品の中で、罪悪、エロチックなこと、汚いこと、苦悩など一見ネガテイブな話柄とされることが好んで主題とされる理由は、それらのシステムに収まらない話柄の中にこそ生命の発露する場があるからであるともいえる。そのとき、秩序は常に従たるものでしかなく、生命こそが主なのである。だから作者が作った文学作品は、すべて最良のもので、全部優れていると評価することができるのではなかろうか。芸術は常に秩序に対して必ずしも生命の抵抗の形を取るとは限らない。しかし、ロシアの場合には、特に秩序に対して抵抗した作品が見られる。秩序に抵抗しているならすべて傑作というわけでは決してないが、そういった文学作品の中に非常に優れているものが入っているのはよくあることである。
だからこそ、人が調和の取れた心の発展を遂げていくためには、文学が必要だと私は思う。また、これから人間形成をし、自分らしい生き方をしていこうとする青年には、自分の国のものだけでなく、外国の文学の名作、傑作とされるものを絶対に薦めたい。外国の文学者が作ったすばらしい読み物、自分の国の作家が書いた傑作がみな世界の文学に大きく寄与するものであるとされているのだから。

人事

町田昭之助専務理事退任
学校法人函館国際学園専務理事町田昭之助氏が、8月31日付をもってその職を退かれました。今後は、非常勤の理事として学園の経営にあたられます。
町田氏は、平成9年5月に事務局長として本校に着任し、その後平成11年に専務理事を兼務することとなり、さらに、平成14年から今年8月31日までは専務理事として、総計5年3ヶ月にわたり本校の発展・充実にご尽力くださいました。
ここに氏のご功績に謝意を示すとともに、一層のご活躍をご祈念いたします。

中間試験

中間試験日程
下記の期間を中間試験期間とします。この期間は、通常の時間割どおりに授業が行われますが、科目により試験を実施します。試験の有無・実施方法は各担当教員よりお知らせします。
12月1日(月)~12月5日(金)

留学実習

留学実習説明会開催
ロシア語科1年生を対象に第1回留学実習説明会を行います。日時は12月3日(水)14時40分から、場所は第5教室です。留学実習についての大まかな説明をしますので、質問があれば用意してきてください。
パスポートを持っていない学生は、平成16年1月9日までに取得しなければなりません。申請から発給までには約2週間かかりますので早めに手続きをしてください。
函館で申請するには渡島支庁(函館市美原4丁目6番16号 ℡0138-47-9000)へ出向くことになります。申請用紙は事務局にもありますので利用してください。

第6回はこだてロシアまつり

函館市民の皆さんにロシアをもっと知ってほしい、もっともっと身近に感じてほしいとの願いからはじめたこのまつりも、今年で6回目となりました。
今年も、ロシア料理レストランやステージ発表等など、盛り沢山の催しを準備いたしております。
皆様のご来場をお待ちいたします。
日 時:平成15年11月8日(土)10:00~15:00
予定されている催し物:
・ロシア料理レストラン
・喫茶店  ・パネル展
・キオスク ・ステージ発表

学生課より

ТРКИを受験してみませんか?
本校では12月6日(土)、7日(日)に、ロシア教育省認定「外国人のためのロシア語能力検定試験(略称=ТРКИ)」を実施します。
本試験はロシアの大学で学ぼうとする外国人が、ロシア語の講義を理解する語学力があるかを見極める目的で開発され、ロシア国内では1998年から実施されています。
それまでロシアの大学に編入学を希望する外国人は、各大学が個別に実施するロシア語試験に合格するか、事前に大学に附属するロシア語学校で長期間の研修を受けなければなりませんでしたが、この試験に合格することで、ロシアの大学あるいは大学院の入学、編入試験の受験資格を得られるようになりました。
本校で実施されるのは今回で4回目。日本からロシアの大学・大学院への進学を目指す学生やロシアの大学生レベルの語学力があるかを試してみたい方々のために1級と2級、そして一般のロシア語学習者のレベルチェックとして基礎テストを実施します。
受験を希望される方は事務局までお問合わせを。従来ロシア国内でしか受験できなかった試験を日本国内で受験することができるこの機会に、力試ししてみてはいかがでしょうか?受験申込は11月7日(金)までです。

冬季休業
今年度の冬季休業は、12月8日(月)から1月12日(月)までです。休業中も平日は事務局や図書室などの利用は可能ですが、12月27日(土)から1月5日(月)までは事務局も休業となりますので留意してください。なお、授業開始は1月13日(火)からです。

お知らせ

留学生がやって来ます
今年も本学より6名の留学生が本校にやって来ます。10月27日(月)に来函し、11月22日(土)に函館を離れます。この間、前半の6日間をホームステイし(10月27日から11月1日迄)、残りの期間をホテルに滞在します。
6名の留学生は、日本語の学習のために来校するわけですが、ロシアまつりに参加するなど、皆さんと同じ屋根の下で生活しますので、交流を深めて欲しいと思います。
≪留学生のお名前≫
  ブーロワ アンナ
  コウーロワ アンナ
  ソロートカヤ エレーナ
  ソン マルガリータ
  チョボタリョーワ エカテリーナ
  コーコレワ エカテリーナ

初参加「函館アカデミックフォーラム」
毎年、函館市はじめ函館商工会議所、産学連携「クリエイティブネットワーク」、各大学等の主催で実施されている「函館アカデミックフォーラム」に、今年から本校も参加することになりました。
このフォーラムは、今年で3回目となり、各大学等の日頃の研究成果や学内活動等を展示するとともに発表形式による学校紹介等を通して大学等と市民との交流、更には大学等と企業人との一層の連携を促進することを目的に始められました。
本校からは、展示内容として、「写真でたどる函館校の歴史展」、「ロシアの各種文献の展示」、「ロシアの民族衣装・民芸品の展示」、「サハリン石油・天然ガス開発プロジェクトの状況」を予定しております。発表内容としては、「アニメーションブース」を設置し、ロシア版ジャングルブック「マウグリ」ほか楽しいアニメーションの数々をブースの小窓から覗けるようにします。また、本校のコーラスサークル「コール八幡坂」が、日本では知られていないロシアポップスをステージ上で紹介します。
 
○ 開催日時:
   平成15年11月14日(金)
      午後1時から午後7時まで
   平成15年11月15日(土)
      午前10時から午後5時まで
○ 開催場所:
   函館市民会館 展示室、大会議室
なお、「コール八幡坂」のステージ発表時間は、11月15日(土)13:00~13:30となっております。

学生からの投稿

横浜研修を終えて 
ロシア地域学科1年 久田賢明

私は、9月9日から11日までの3日間、函館の新成人を代表して横浜研修に行ってきました。
研修は、各自がテーマを持ち、団体研修と自主研修(個人研修)に分かれて行われました。私は、テーマを「横浜の街並観察」とし研修に臨みました。ちなみに、他の参加者のテーマは、「横浜の歴史」や「横浜の福祉制度」でした。
私は、先述したテーマに基づき研修内容を「TMO関連」と「商店街の活性化」に焦点化し情報収集のために横浜市役所を訪問させていただきました。
市役所訪問は、当初、30分の予定でしたが、2時間ほど延びてしまい担当の柿崎さんには大変ご迷惑をかけてしまいました。
柿崎さんは、商店街の移り変わりや「中心街活性化法」に基づいて現在進めている各種の事業について説明してくださいました。私は、説明を聞いて、商店街の住民が積極的に行動しなければ、商店街の活性化は実現しないことを知りました。
また、現在、横浜の商店街では、大きな問題に直面していることも知りました。
それは、後継者問題です。横浜の商店街の経営者の多くは高齢で、しかも跡継ぎがいないということです。従って、それぞれが一代で店を閉じようとしているため、積極的に活性化のための行動を取ろうとせず、のんびり暮らしがちとのことでした。これは、函館にも言えるのではないか? 後継者難、積極性の欠如・・・・、
私には、函館にも相通じるものがあるように思われました。
横浜市役所では、対策として、個人で営業できる経営のノウハウを学ぶための講習会やチャレンジショップの設置、さらには、若者がともに協力し合って活性化運動に取り組めるようなサポート事業等を進めているとのことでした。
私は、市役所での情報収集の後、実際に街並み観察に出向きました。中華街を通って元町商店街に向かい、そこから石川商店街へと案内され、商店街同士がどのように係わり合っているかを教えていただきました。その中で、石川商店街が元町商店街と石川駅に挟まれていることにより元町商店街に向かうお客さんを引き寄せる機会を得ることができるという利点を最大限に活用した方策を取っているということが印象に残りました。
私は、今回の研修で、街づくりの難しさを実感しました。市が、行政がいくら頑張っても、市民が積極的に行動を起こさなければ活性化は実現しないということです。人は、「当たり前じゃないか」と言うかもしれません。しかし、私は、今回の研修で、街づくりの鍵は、市民が、とりわけ若者が握っていることに気づくことができました。その意味で、私にとっては意義深い研修でした。
私は、次に成人を迎える方々に、是非参加するよう呼びかけたいです。必ず得るものはあります。
最後に、このような機会を与えてくださいました市当局に深く感謝を述べ、研修報告の一端とさせていただきます。

函館日ロ親善協会からのお知らせ
7~9月までの協会の主な活動実績

7月 7日;新会員 西岡 豊さん 加入

7月19日;ハバロフスク市およびサハリン州からのロシア小中学生(38名)の交流昼食会実施。(実行委員会事業費に参加)

9月19日;ロシア総領事館函館事務所の開設に際し、協会からビデオ内蔵テレビを領事館に寄贈。同日、オープニングセレモニーに倉崎会長、松本専務理事が出席。

≪係りより≫

函館市にとって長年の懸案であった在札幌ロシア連邦総領事館の函館事務所が開設されました。さる9月19日、ロ日政府要人等、関係者の出席のもとに開所式が行われ、1年生の山田信子さんが「フレップ・ソリ」を行うなど本校の教職員、学生が活躍しました。
また、この度、大道寺小三郎みちのく銀行会長に本学(極東国立総合大学)から名誉博士号が贈られることとなり、来る10月21日、
本学の開学記念式典の中でクリーロフ学長より授与されることになっております。共に喜び合いたいと思います。
さて、後期が始まって2週間が経ちました。学びの秋です。それぞれが、今一度初心を思い起こし、勉学に励んでいただくことを望みます。(小笠原)