No.19 1999.04"Миллион звезд" ミリオン・ズビョースト/百万の星

自分自身の卒業証書

ロシア極東国立総合大学函館校 事務局 山名 康恵

もう過ぎ去ってしまった学生としての私。けれど、ロシアへの情熱が一緒になくなってしまってはいない。卒業後、学校の事務に勤務し、学生のみんなと顔を合わすこと、教授陣と一緒にいられることは、今唯一のロシアとのかかわりあいになっている。
ここの学生には、どんな困難にも打ち勝ち、自分の夢に向かい、自分を大切にして、大学での短い時間の中でしっかりとした何かをつかみ取ってもらいたい。卒業後も生き生きとした姿を見せてもらいたい。ロシア語だけにとらわれないものも含めて。思えば、私も人にとやかく言えるほどではないのもわかっているが、自分自身を見つめながら学生と共になって成長していきたいと願っている。
確かに私も学生の頃、とても自由だった。いろんな時間が過ぎていった。ラッキーピエロなどで時間をつぶし、友達と遅くまで語っていた。麻雀もしていた。アルバイトも遅くまで、時には朝までやっていた。習い事も始めた。自動車学校にも行った。山にも登った。旅行もした。一人暮らしも初めてだった。楽しいことがあれば、悲しいことがあり、嬉しいことがあれば悔しいことつらいことで涙した函館での生活があった。でもなぜ、あんなにも元気だったのだろう。なぜだかわからないが、朝起きると足が学校へ向かった。
函館の生活の支えになっていたのは、ロシア語を共に学ぶ友人がいて、学校で勉強する居場所があったことだろう。そして、周囲の励まし。会って話せばロシアのこと、研修の思い出などなど…。
そんな私たちを見て、変わっている、世界が狭い人たち、と思う人々も数多く存在していたけれど、私たちはこのロシア語に何かを賭けていたと言うより、ロシア語を学び続けた函館の生活が好きだったし、その生活を誇りに思っている。そして友人との心の絆は、消えも隠れもせず一生の財産になるだろう。
今、振り返り、こう思っているからこそ、自分を作り上げてくれる周りの人々や環境に感謝する日々を過ごしてもらいたい。そしていつの日か、自分に納得がいく日々を過ごしている時こそ、自分からの卒業証書が届くだろう。