No.114 2023.01"Миллион звезд" ミリオン・ズビョースト/百万の星

私の新年の過ごし方

ロシア極東連邦総合大学函館校 准教授 イリイナ・タチヤーナ

2019年の12月の冬休み、私はウラジオストクに行きました。2020年を祝うために、そして新しく迎える年が幸せで喜びにあふれたものになると信じていました。しかし、その時私は私たちの生活がもうすぐコロナで、これまでとは全く違ったものになるだろうとは、つゆ程にも知らずにいました。
ウラジオストクは新年の準備をしていました。ロシアの新年は一年で一番大切な行事です。街はキラキラと輝き、中央広場には美しいクリスマスツリーが立てられています。ロシアでは1月7日にクリスマスが祝われるため、誰も12月26日にツリーを撤去しません。広場ではまるまる1ヶ月、お祭りが繰り広げられます。子どもも大人もアイススケートや滑り台で楽しみ、もっと幼い子どもたちはトナカイやポニーに乗ってはしゃぎます。
マローズ爺さん(サンタクロースのことをロシアではこう呼びます)と雪娘は、広場で様々なコンクールを催し、そして観客たちと元気いっぱい踊ります。人々は凍えないようにキオスクで熱いお茶やコーヒーを買い、ピロシキやパイをほおばります。時には、ステージでアーティストたちが素晴らしい歌やダンスを披露することもあります。そして、楽しい音楽が大音量で広場を包みます。
私は例年ウラジオストクに住む息子一家と新年を迎えます。12月31日息子のお嫁さんは一日中、いろいろな美味しい料理を作るのに忙しくしていました。
そして私はその日一日、ずっと孫娘のサーシャと私の家で過ごしていました。
午後7時、息子が私たちを迎えに来て、私たちは彼の家へ向かいました。途中、お嫁さんからマヨネーズを買ってきてほしいと電話がありました。(このあとすぐ大晦日には買い物に行かない方がいい、と改めて思いました。)私たちは長い間レジで並び、次に駐車場を出るため、辛抱強く待たなくてはなりませんでした。そう、街中の人々は新年を迎える前に最後の準備をしているのです!
息子の家に着くと、部屋はクリスマスツリーやイルミネーションで飾られていました。大きなテーブルには様々なお祝いの料理が並んでいます。普通ロシアの人々は夜10時にお祝いのテーブルに着くのですが、私たちはすでにお腹がすっかり空いていたので、それよりも早くテーブルに着きました。
深夜12時近くになるとロシア中の人々と一緒に大統領の挨拶をテレビで視聴します。そして12時、新年の合図のチャイムがなり響く中、私たちはシャンパンを開けます。次に家族みんなで新年の言葉を言って、その年のそれぞれの健康と幸せを願い、贈り物を贈りあいます。
ロシアでは(大晦日)新年の12時にシャンパンを飲まない人はいないでしょう!新年をどのように迎えるかは古くからの伝統的な習慣が人々に脈々と伝えられているのです。
ここで皆さんに私のとびきりの思い出をお話ししましょう!ある年、私の夫の母は一人で新年を迎えることになりました。寂しく過ごしているのではないかと心配しました。しかし、私が義母の家に寄ってみると、お祝い用の食事がいっぱい載ったテーブルをテレビの前に置き、彼女自身は新年を迎えるためにきれいなドレスと靴で美しくドレスアップをしていたのです!私は大変驚き、感心しました。だって彼女はドレスや靴だけでなく、美しくお化粧をしてマニキュアも完璧でしたから!素敵でしたね。御年70歳ほど!誰に見せるわけでもなく、一人で迎える新年のために、ドレスアップするなんて、信じられません。いくつになっても自分のために特別に何かを行うこと、忘れてはいけませんね。
さて、シャンパンを飲み干した後、人々は窓から外を見たり、外に出たりします。すると花火が打ち上がり始めました。ほとんどの家では家族の誰かが花火を打ち上げます。そうして街の花火は朝まで続きます。
多くの若者はカフェやディスコで祝杯を上げ、テーブルを並べて大いに楽しみます。
街にはウズベキスタンやタジキスタン等の国から多くの労働者が故郷を離れ働きに出てきています。彼らは貧しく、多くは一つの賃貸アパートに複数の家族で住んでいます。そして、彼らもまた、新年を祝うために広場にやって来ます。
そう、全ての人々の新年!

△思い出の義母からのクリスマスカード(昔のウラジオストクの中央広場のイラストが描かれている)

学生からの寄稿

キルギス留学 
ロシア語科2年 岡元 菜弥波

私は2022年度、留学実習に参加しました。今年度はロシア極東大本学への留学は断念し、開校以来初となるキルギスの首都ビシュケクへの留学が決まりました。
私たちは9月2日に成田空港近くのホテルに前泊した後、3日の夜に成田空港から経由地であるドバイへ向かいました。ドバイの空港には朝4時30分頃に到着しました。ドバイ空港は世界一の規模で、旅行客がたくさん行き来していました。カフェからショップは朝晩問わず営業していて、最先端技術が整っていました。そのおかげか18時間近くの待機もそれほど苦ではありませんでした。ビシュケクには5日の朝方に到着しました。ゲストハウスの管理人さんが出迎えてくれて、滞在一日目は長時間の旅疲れを無事休めることができました。
6日にはキルギス国際大学付属国際教育センターへ向かい、センター長や職員の方々からの歓迎をいただき、授業が始まりました。授業は週5日で文法・会話からなる二つのプログラムで構成され、私たちは一日に40分×4コマの授業を受けました。文法ではロシア語の基礎を復習しました。忘れかけていた基礎やミスのしやすい格変化など集中的に学ぶことができました。会話ではロシア語しか通じない先生に上手く意志を伝えられるよう努力しました。自分の実践不足を痛感しましたが、留学中盤からはキルギス人がよく使う表現が聞こえてきたり、早口言葉のように聞こえていたロシア語に耳が慣れてきたりとリスニング力を徐々に高めていきました。

もちろん、現地での生活も充実していました。街を歩いていると、緑が多く穏やかな雰囲気をよく感じました。ソ連時代の街並みも残りつつ、現代的な建物との融合が面白かったです。午前中で授業が終わると、大学近くの広場は休憩している学生たちでいっぱいで、そんな自由な雰囲気も好きでした。現地ではキルギスの学生やキルギス日本センターで出会った日本語を学んでいる学生との交流もありました。話してみるとキルギス人はとても明るくて、温かい人が多いと感じました。文化の違いはあれ、外国人にでも、気軽に話しかけてくれるので、上手く現地に馴染むことができました。
振り返ってみると、生活面で困ることはほとんどなく、カルチャーショックも少なく済みました。普段目にすることのない光景、文化交流、自然などすべてが貴重なものでした。大変、素晴らしい1か月を過ごすことができました。

キルギス留学 
ロシア地域学科3年 上野 真由

私たちは、9月3日に約1ヶ月間の留学実習に向けて日本を発った。経由地はドバイで、計16時間ほどのフライトを経てビシュケクに到着した。滞在したのはゲストハウスで、オーナーは暖かく迎えてくれた。
キルギスについてから最初の週末、大学職員の方が運転する車に乗って大学のセンター長と5人でイシク=クル湖へ行った。湖のそばに近づくと車窓から海のようなものが見え、あまりにも大きかったので最初それが湖の岸とはとても思えなかった。もう9月で湖が一番混み合う時期はもう過ぎていたが、それでも家族連れや友人同士で訪れた人々で賑わっていた。水は透明度が高く、温度も少し冷たい程度で訪れるにはとても良い時期だったと思う。
翌週日曜日は、ゲストハウスのオーナーの誘いでケゲティという山に行った。登山靴を持っていなかったため、前日にビシュケクのショッピングセンターにあるアウトドア用品店で靴を買った。当日は他のツアー参加者たちとマイクロバスに乗り込み山の麓へ向かった。麓に着き、その直後にいきなり険しい斜面を登ったので、ゴール地点までずっとこんな道が続くのではないかと不安になったが、それ以降の道は基本的にそれほど危険でなく怪我することなく目標地点まで到達できた。山には放し飼いされていると思われる牛が何頭もいて、それぞれが自由に過ごしていた。少し経った後で下山し、麓まで行くと羊と馬の放牧をしていた。バスに全員が乗り込み街に戻ろうとしたが、細い山道をたくさんの羊や馬が塞いでおりそれらが立ち去るまでバスはしばらく立ち往生していた。

三週間目の金曜日、キルギス日本センターで現地の日本語学習者と日本人が日本語で交流するイベントに参加した。何人かと話をしたが流暢に会話することができる人もいて驚いた。また、学生たちが日本語を学ぶ姿勢は、自分自身のロシア語学習へのモチベーションにもつながった。
その他にも書ききれないほど色々なことがあった。渡航前、事前情報があまりなく不安も多い中で留学実習が始まったが、気候や一部インフラが整っていないことを除けばそれほど不便はなかった。そして日本を離れたからこそ、普段生活している環境はインフラがとても整っており安全に暮らせているということも実感することができた。
キルギスで出会った人たちはみんな親切で、開放的だった。現地で過ごしているときは大変なことも多かったが、そんな時色々な人が手を貸してくれたし、それらはとてもいい経験になった。沢山の人が私を手助けしてくれたように、いつか自分も言語を学ぶことで誰かの力になりたいと思った。

アカデミックリンク~キルギスにしか無いもの~
ロシア地域学科4年 中澤 純

「ロシア・ウクライナ情勢の関係でウラジオストクには行けないから、今年はキルギスなどはどうか考えている。」そのようなことを春、理事長が言ったのを覚えている。
――キルギス。日本人としてはあまり耳馴染みのない国であった、当然自分もである。キルギスの伝統料理、風習、音楽、一つでも答えられる日本人はどれほどいるのであろうか。あまりにも日本の文化圏と異なっているからであろう。ふと帰ってきた留学組にキルギスで食べた料理を見せてもらった。同じではないか。あのウラジオストクで見た料理たち、チャイハナにあった中央アジア料理だ。マンティ(肉まんのようなもの)、プロフ(ピラフ)、シャシュリク(串焼肉)。だが何かが足りない。
――ディル(香草)だ。あの、所かまわず振られていたあの緑がないのである。ディルにまみれたあの生活というのはロシア特有なのか…。キルギスはアラブの石油王の如く油が料理に使われていたらしい。当然食べた暁には、胃もたれコースだったという。聞いた話や写真を見ると、肉料理といったものを超越して「油料理」と形容してもよいくらいであった。キルギス人にとって身近なものには、摩訶不思議なアドベンチャーが広がっていた。
――クルト(チーズの一種)、キルギス人は飴かのように貪っているらしい。「食べてみてください。」キルギス留学組からそう渡される。当然、美味いものである、筈であった…。口に入れると、百獣の王だろうが恐れ戦く。そんな魑魅魍魎が存在していたのであった。キルギス人はこれを真顔で摂れるのか。それは人智を超えた存在に違いない。
――違う、これが食文化の違いなのだ。納豆のように自国の人間には馴染み深くても、少し海を超えるだけで”JAPANESE NATTO”と、奇想天外な黒魔術の材料かと思われることもある。人間は苦味を最初は毒かもしれないと人体ごと受け付けない場合がある。慣れていない味を本能から危険なものととらえるのだ。そういった人間の習性もあり、それぞれ独自の食文化を築いている。いろいろな観点から食文化を見ることで今まで見えなかった世界が見えてくる。そういったことが食文化を比較する醍醐味なのだと思えた。マンティやプロフはロシア・キルギス共通なのに、何故キルギスではディルがあまり使われないのか。今度は歴史をさかのぼっていくことで新たに見えてくる食文化があるのかもしれない。
そういった訳で、キルギス留学組と私と1年生の後輩とで、チームを作りアカデミックリンクに出展した。テーマは、「キルギスの食生活について」である。キルギス留学組は滞在中、現地でキルギス人に「どのような食生活をしているか」のアンケートを取っていた。それを集計し、摂った食事の写真やコメントをまとめた。当の私は、いかにもキルギスに行ったかの如く、平然とした顔でプレゼンを作った。行ってないけれど行った気分。ありがとう、アカデミックリンク。

2022アカデミックリンクに参加して
ロシア地域学科3年 弓田 眞悟

今回私は出場3回目となるアカデミックリンクに参加することに決めた。前回は、ふたりチームでサケ科魚類と日露関係の歴史についてのテーマで発表したが、今年は一人で参加することに決めた。
発表テーマは、ロシアにある世界一深い湖のバイカル湖に生息する「バイカルアザラシ」にした。実は、このテーマは前々からやってみたかったテーマである。というのも私は海洋哺乳類の中ではアザラシが一番好きな動物であり、ロシアの地理を学び始めたとき、バイカル湖に生息する「バイカルアザラシ」の存在を知り、いつか機会があれば調べて何らかの形で共有したいと思っていたからである。今回は一人であるため、自分優先でやりたかったテーマを選んだと言う訳である。
好きなテーマだと言えども、一人で企画、文献収集、さらにパワーポイント作成をするのは、かなり困難な作業であった。しかしながら、なんとなくしか分からなかったこのアザラシを調べていくにつれて、そして実際地元である仙台の水族館に展示されているバイカルアザラシを間近で観察して、その不思議な生態やバイカル湖について知るにつれて、このアザラシのことをますます魅力的に感じ始めた。
また、淡水に生息しているアザラシであるため、他の海に生息しているアザラシとは異なり、淡水中でも獲物を上手く探せるように目が大きいことや、冬には氷が張ってしまうため、そこに穴をあけるために発達した前足の爪などこのアザラシが環境に適応していくために進化していった形跡を見て、理解して、ますます好きになった。
そしてアザラシから、ロシアと日本との関係を調べていく過程で驚いたことがひとつあった。それは、このアザラシが中国のパンダのように日露の友好のための観光大使として日本に送られてきている県があったことである。これは日本人がロシアについて興味を持ってもらえることだと感じた。
最近ロシアと日本との関係は良いものとは言えなくなってきていると私は思う。テレビやYouTube、Twitterを見ればいつもみるに堪えないコメントや批判が増え続けている。
そんな中でも私は全てを拒否するのではなく、アザラシをきっかけに少しでもロシアについて知ってほしいとの気持ちも込めて、研究をまとめた。結果、どこまで伝えることができたかは分からないが、無事に終えることができ、嬉しく思う。
今回のアカデミックリンク参加にあたり、ご指導、ご協力いただいた先生方にこの場を借り、あらためて感謝をいたします。

全道ロシア語弁論大会の思い出 
ロシア地域学科3年 鈴木 貴大

2022年12月3日、札幌で第54回全道ロシア語弁論大会が開催された。例年は北海道庁旧本庁舎(赤レンガ庁舎)や在札幌ロシア連邦総領事館を会場に行われていた本大会だが、今年度は日本ユーラシア協会北海道連合会の建物での開催となった。私がこの大会に参加しようと思った理由は、この学校に入学してから、約3年間学んできた自分のロシア語がどのレベルにあるのか、また、うちの先生方以外のロシア語ネイティブから見てどのように映るのかを確かめたかったからだ。教授会から出場について推薦を受けたことも、大会に出場する良いきっかけとなった。
弁論大会に向けて最初に悩んだことは、テーマを選ぶことだった。弁論のテーマは自由だったため、9月から10月にかけて留学してきたキルギスについて書こうとしたり、学校近くのロシア料理店の店主の方にアイデアを頂いて、ソ連における米食文化について考えたり、かなり思い詰めていた。さらに、私が応募したのは、ロシア語学習歴2~3年以上のAクラスだったため、5分程度語ることの出来るテーマでなければならなかった。最終的には、自分がロシアのバイク・車メーカーに興味があるということもあって、ソ連から続くオフロード車メーカーの「УАЗ」について発表することに決めた。テーマが決まり、デルカーチ先生に吹き込んでいただいた原稿の録音を聞き、放課後に先生と発音練習をしながら、原稿の暗記を始めた。その中で大きな壁となったのは、抑揚であった。先生の録音では、強弱がはっきりついており、アピールしたいポイントがよくわかった。しかし、いざスマホで自分の声を録音して聞いてみると、全くそれがわからなかった。これを大会まで残り2週間で直さなければいけなかった。放課後の練習だけでなく、家で必死になって何度も練習した。
大会当日、緊張しつつも何か腹に入れねばと、会場の隣にあったカフェでサンドイッチとコーヒーを頼んだ時だった。ある一人の男性がソワソワしながら入店してきた。ロシア語で独り言を言っていたので、気になって話しかけてみたところ、実はこの男性も大会参加者だったことがわかった。その後、大会が始まるまで、独学でロシア語を勉強しているというこの社会人の方と、ソ連の音楽家や現代ロシアについて何時間も話した。思いがけない出会いではあったが、緊張を解しつつ、非常に有意義な時間を過ごした。そうして、弁論大会が始まった。発表では、たくさん練習した抑揚を意識しながら、自分のベストを出せた。さらに、質疑応答の場面では、審査員の方々の笑いを取りながら答えることもできた。結果を待つ間、心臓が飛び出そうな思いだったが、無事に1位を受賞した。自分の頑張りが報われたと感じたと同時に、ロシア語を学ぶ方々と交流できたことが、自分にとってロシア語を学ぶモチベーションにとてもつながった。これからも怠けることなく、日々の研鑽を重ねていきたい。

АБВГ-Day暗唱の部の1位となって
ロシア語科1年 福留 聖司

当初のロシア留学の予定を変更し、今年4月に本校に入学してはや8ヵ月が経過し、いよいよАБВГ-DAY開催となりました。本校における重要なイベントであるとは聞いていましたが、正直に言うと当初は、「自分は一体何をすれば良いのだろう?」と思っていました。
やがて、1年生は全員詩の暗唱をやるとの説明を受け、各自が希望するテーマを決め、それに沿ってデルカーチ先生が各自に適当な詩を選定する運びとなりました。
自分の場合、商船高専から旧・神戸商船大学大学院まで一貫して海に関わるキャリアを歩んできたことを考慮して、「海について」というテーマを設定し、どんな天候でも海に乗り出す船乗りの心意気を語る«При всякой погоде…» (Владимир Высоцкий)を選んでいただきました。
詩が決まってから、先生による朗読の手本を何度も聞いて練習するとともに、かつて渋谷のボイストレーニングに通っていた頃に習った発声法を思い出し、再度やってみることとしました。呼吸は腹式呼吸で、声は低い声は胸から、高い声は頭頂から出ることをイメージして何度か練習し、今回は鼻のあたりから声が出るイメージでいこうと決めました。ちなみに、このような発声法は訓練すれば誰でもできます。
本番前日に、詩の暗唱であってもイメージ動画を作ることも可能と聞いて、急遽パワーポイントでイメージ動画を作り、さらに当日は5年前にウラジオストク市の海軍百貨店(Флотский Универмаг)で購入した水兵の縞のシャツ(тельняшка)を着ていくこととしました。
いよいよ当日本番です。荒海を行く帆船のイメージをモニターに表示し、25年前、空打つ波が哮る冬期北太平洋を帆船・日本丸で越えた時を思い出し、詩を暗唱しました。一瞬次の詞を忘れそうになる時もありましたが何とか乗り切り、結果として暗唱の部の1位をいただきました。
本校に入学してはや8ヵ月、ロシア語力はまだまだではありますが、何とかここまでは到達することができたと思うと非常に感慨深く、より一層精進しようとの思いを新たにしました。
また、ここまで御指導をいただきました先生方に感謝の念を込めて、本稿を終わらせていただきたいと思います。

АБВГ-Day芸術賞
ロシア地域学科2年 佐藤 宏夢

今回のАБВГ-DAYではсумецкаяいう曲の歌唱で芸術賞を受賞しました。私はロシア語の曲と言うとこの曲が一番に思い付きました。そして自分はこの曲でАБВГ-DAYに出たいと思い、歌の練習をしました。正直に言うと、もう少し早く練習を始めていたほうが良かったと思います。なぜなら、まだ満足するレベルでの発表ではなかったからです。歌詞をもっと覚えて、最後まで歌える状態こそが、全力を出し切ったと言え、今回はまだそのレベルではないと思ったからです。次回のАБВГ-DAYでは自分の全力を出す発表をしたいと思います。
さて、сумецкаяという曲はотава ёというバンドが作成した、現代ロシア音楽、フォークロックの部類に入るものです。私は現代ロシアのロックがとても好きです。ロシア語で歌い、なおかつロシアンポップの民族音楽を合わせた音楽はこのバンドの得意とするもので、すぐにこのバンドの曲にしようと決めました。また、曲のノリに合わせて即興で踊ろうとも思いました。一番に思いついたこの曲はノリもよくまさにぴったりだったので、今回の発表にマッチしたのではないかと思います。これが芸術点になったと思います。自分としてはうまく踊れたと思えます。しかし、こちらもまだ本気を出せると思いました。歌詞をちゃんと覚え、踊れたらもっと良かったと思います。
結果、芸術賞をもらえました。私は何度も言うように満足した出来ではなかったので、賞を貰えることはないだろうと思っていました。
しかし、賞をもらうことができて、驚きつつも、とてもうれしい気持ちになりました。何よりもっと努力しよう、次回のАБВГ-DAYはもっと頑張って新しいことに取り組もうと思いました。ですから、この賞は自分にとって新しいステップアップへの兆しだと思えました。次回のАБВГ-DAYは自分に合った個性のある出し物にしたいと思っているので、この賞をバネにして努力を重ねて歌詞を暗記、それ以外であれば詩や発表物を覚え、АБВГ-DAYを成功させたいと思います。それは自分の努力に裏打ちされた、自分自身の発表物への思いです。

短信

年金セミナー

11月8日(火)の4限目、全学生を対象とした特別授業「学生に対する年金セミナー」を開催しました。
札幌から派遣された日本年金機構地域年金推進員である三ツ井孝二先生に、「知っておきたい年金のはなし」と題し、学生にはなじみのない制度のことをわかりやすく解説していただきました。
国民の加入義務となる20歳前後の学生がほとんどのため、20歳になったらすべきこと、自分の将来を考えて豊かな人生のために何が必要か、学生納付特例制度のポイントなど、具体的なお話で大変参考になりました。

АБВГ-Day

12月14日(水)ロシア語学習促進と発表の場としての言語まつりАБВГ‐Day(アー・ベー・ヴェー・ゲー・デー)が開催されました。
日ごろ学習しているロシア語で一人3分から5分ほどの発表をする個人発表の部門と、今年はチーム対抗戦も3年ぶりに行い、学年の垣根を越えて4チームに分かれ、クイズ形式で言語知識を競い合いました。
個人発表は、1年生の暗唱の部と上級生の自由発表の部に分かれており、詩の暗唱や歌唱、スクリーンを使っての発表など形式は様々です。
チーム対抗戦の「АБВ-Game(アー・べー・ヴェー・ゲーム)」では、飛び入り参加で、日本語を勉強するため函館に留学中のロシア人学生と、来函していた卒業生もチームに加わり行いました。クイズは4択問題や早押しクイズで、どれもロシア語やロシアの風習についてでした。学生たちはどのクイズにも全力で答え、会場は大盛り上がり!不正解でも関係ありません。分からなかった言葉の意味を学生同士で教えあい、楽しい学びの場になりました。

 結果は以下のとおりです。
【暗唱の部(1年生)】
第1位 ロシア語科 福留 聖司
  «При всякой погоде…» В. Высоцкий
「どんな天候でも…」

 【自由発表の部(2~4年生)】
第1位 ロシア地域学科3年 鈴木 貴大
  発表「時代遅れのあの車はなぜ人気?」
第2位 ロシア地域学科2年 三田井 芙美
  暗唱「鳥刺し」«Птицелов» Эдуард Багрицкий
第3位 ロシア地域学科3年 上野 真由
  発表「キルギスの民族楽器 チョポチョール」
第3位 ロシア地域学科3年 弓田 眞悟
  発表「私の人生を生きる」
芸術賞 ロシア地域学科2年 佐藤 宏夢
  歌唱「スメツカヤ」«Сумецкая»

なお、自由発表の部第1位のロシア地域学科3年 鈴木貴大さんは12月3日(土)札幌市で開催の第54回全道ロシア語弁論大会で第1位を受賞。同じく自由発表の部第3位のロシア地域学科3年 弓田眞悟さんは、12月18日(日)オンライン開催の第30回 創価大学創立者杯 ロシア語スピーチコンテストのビデオ部門で第3位を受賞しました。おめでとうございます。

大人のマトリョーシカ絵付け体験教室

12月3日(土)、オトナのマトリョーシカ絵付け体験教室を開催しました。函館校では2014年から毎年、夏休みに小学生向けの教室を開いていますが、以前から「大人向けにも開いてほしい」とのご要望があり、昨冬初開催したところ、好評でした。今年も早々に定員10名の参加者が集まりました。
デルカーチ・フョードル副校長が、マトリョーシカの歴史や伝統的な民族衣装の構成について説明しました。先生が下絵を描いた白木のマトリョーシカに顔を描き、好きな色を塗っていく工程です。
絵の具の合わせ方や筆運び、塗る順番などに気を配りながらみなさん黙々と作業していきます。仕上げに胸元に花やリンゴを描いたり、袖に模様を付けるなどして、3時間かけてこだわりの詰まったマトリョーシカが完成しました。
最後にニスを掛けたらツヤも出て、かわいいマトちゃんたちを手に笑顔で記念撮影をしました。

就職

外部講師を招いての1~3年生向けの就職支援が年明けからスタートします。一つひとつ着実に受講し、自分の将来を明確に捉えるよう活用しましょう。

ジョブカフェ「企業と学生の交流会」開催の案内

学生が就職活動前から“働く”イメージを持ち、社会人の一員としての準備期間を送ることを目的とした交流会を開催します。
ウロコマシナリー社は合板機械を設計・製作する企業で、ロシアとも取引があります。
近年学生に人気のホテル業界からは、市内の老舗・函館国際ホテル担当者のお話が聞けます。
1年生が対象ですが、他学年でも参加可能です。この機会を積極的に活用してください。

日時:1月16日(月) 14:40~16:10
場所:3F 講堂
講師:株式会社 ウロコマシナリー  総務・経理部 松本光平 氏
   株式会社函館国際ホテル    総務部部長  佐藤則幸氏
対象:1年生は全員参加、他学年は任意です。
主催:ジョブカフェ北海道

△昨年の様子

キャリアコンサルタントによる就職ガイダンス

厚生労働省のキャリア形成サポート事業により、キャリアコンサルタントの派遣を受けてガイダンスを行います。全2回通して「ジョブ・カード」を完成させ、具体的に考えることで、自身のキャリアを可視化することができます。
1.「ジョブ・カード」を活用し、自分の強みやアピールポイントを見つけ、効果的な自己PRができるようになります。
2.就活時に企業への応募書類やPRシートとして活用できます。
3.自分の思いを順序だてて掘り下げるので、面接の準備にもなります。

日時:1月31日(火)、2月2日(木)14:40~16:10(2回とも参加のこと)
場所:3F 講堂
講師: キャリア形成サポートセンター
    キャリアコンサルタント 三浦佳子氏・武田弘幸氏      
対象: 全学生(卒業学年で就職が決まった者を除く)

学務課お知らせ

卒業試験日程
1.ロシア地域学科4年生は、下記の日程で国家試験を行います。
 国家試験    3月 9日(木)
 卒業論文審査会 3月10日(金)(場所:3F 講堂)
2.ロシア語科2年生は、下記の期間内で卒業試験を行います。
    3月3日(金)~3月10日(金)

後期試験日程
1.ザチョット  2月24日(金)~3月 2日(木)
2.エグザメン  3月 3日(金)~3月10日(金)
3.再試期間   3月13日(月)~3月17日(金)
 卒業年次以外の学生にのみ、この期間に再試験を行うことがあります。

出席率不足の学生は
本校は出席率80%以上が期末試験の受験資格となっています。出席率が低かった学生は受験資格を得るため担当教員の指導を受けてください。

JASSO奨学金 継続願提出の手続き
奨学金継続願は学業を続けていくために奨学金が来年度も継続して必要か否かを奨学生自身が判断し、提出(入力)するものです。
貸与奨学金を利用している学生は、返還する義務があることを十分自覚した上で、スカラPSから継続願を提出してください。
給付奨学金・貸与奨学金、どちらも利用している学生はそれぞれで継続願を提出する必要があるので注意してください。
継続願の提出期間は下記のとおりです。

提出期間:2022年12月19日(月)~2023年 1月20日(金)

石館とみ奨学金審査会
「石館とみ奨学金」は、人物・学業ともに優れ、かつ将来、社会奉仕の精神に基づく社会貢献を期待できる学生に対し奨学金を授与することにより、優秀なる人材の育成と教育効果の向上に資することを目的とし、本校での学資として給付される奨学金です。
2月中旬に開催予定の説明会で、制度概要と応募方法について説明しますので、奨学金を希望する学生は必ず参加してください。
なお、選考会は下記日程で行います。

一次選考審査会  3月13日(月)
二次選考審査会  3月15日(水)
授与式(卒業式) 3月17日(金)

説明会と二次選考審査会、授与式には学生本人が出席しなければなりません。
採用は2名を上限とし、2名採用の場合は1名につき17万5千円を、1名採用の場合は35万円が支給されます。

パスポートの取得について
今年、留学実習が予定されるロシア地域学科2年およびロシア語科1年の学生で現在パスポートを持っていない、あるいは期限が切れそうという学生は、3~4月の春休み中に必ずパスポート取得手続きを行ってください。現時点では留学実習もインターンシップについても詳細未定ですが、新年度になり状況が許せば、すぐに留学準備を始めます。その時に機会を失うことの無いよう、いつでも行ける準備はしておきましょう。
なお、ロシアへの渡航の際、パスポートの有効期限は、申請するビザの出国期限より6ヶ月以上必要です。渡航前にしっかりとチェックし、不明な場合は事務局に相談してください。

お知らせ

2023オリジナルカレンダー販売中

今回で7年目となる、毎年大好評のオリジナルカレンダー、2023年版の販売を開始しました。
このカレンダーは、学生と職員が留学・研修等でロシアを訪れた際に撮影した写真を使用し、製作したものです。毎年ご好評をいただいており、7年目となる今回は、昨年11~12月にコロナ禍の間隙を縫って実施したロシア・ウラジオストク留学実習および、今年9~10月に開校以来初めてロシア以外の実習先として選んだ、中央アジアの国・キルギスで学生が撮影した写真を使用しています。

カレンダーは本校事務局で1部500円にて販売中です。このカレンダーの収益は学生食堂を利用する学生に対して昼食代の一部を助成することに活用させていただきます。
郵送ご希望の場合は1部610円(送料込み)で販売しています。なお、郵送ご希望の場合、郵便切手でのお支払いとなります。住所・氏名・電話番号を明記の上、郵便切手(610円分)を事務局宛にお送りください。切手はなるべく10円切手1枚と100円切手×6枚でお願いします。また、複数部ご希望の場合は送料が変わりますので、その旨お問合せください。
詳細はこちらをご覧ください。

2023オリジナルカレンダー

オンラインオープンキャンパスのお知らせ

1月21日(土)10:00~11:30にZoomを使用した一般後期入試出願前、今年度最終回のオープンキャンパスを行います。
今回は非対面式としてZoomを利用して、職員によるガイダンス(本校概要・入試・奨学金について)のほか、学生による学生生活紹介や2年生のロシア語演習(イリイナ・タチヤーナ准教授)の模擬授業をご覧いただくなど、本校をより理解していただくためのプログラムを予定しています。
「オープンキャンパスには行きたいけど、外出を控えないといけない」、「遠方でなかなか参加できない」などの理由で参加を諦めていた方も、来校せずに自宅でスマートフォンやパソコンから簡単に参加できます。
お申込みは、こちらのお申込みフォームから、必要事項をご記入していただければ、担当者より追って詳細についてご連絡します。
本校への進学を考えている方、あるいは保護者の方はこの機会にぜひご参加ください。

△前回の様子

第25回はこだてロシアまつり

2月11日(土・祝)に開催予定です。
テーマは「今こそ がんばってМИР(みる)!」に決定しました。現在の世界情勢やコロナにより私たちは大変困難な状況にありますが、こんな時だからこそがんばってみよう!という学生の意思の表れです。МИР(‟ミル“と読みます)にはロシア語で世界、そして平和という意味があります。
コロナ禍のここ2年は内容を限定し、屋外で行うマースレニッツァ(体長2mの藁人形を燃やして冬を追い出し、春を呼ぶロシアの伝統儀式)や合唱のみの催しとしていましたが、今年は例年の規模に戻せるよう準備中です。ロシアカフェ(テイクアウトのみ)や可愛いロシア雑貨を販売するキオスク、体験コーナーも実施する方向です。
なお、コロナ感染の状況によっては一部催しの中止に切り替えますので、ご了承ください。開催時間や詳細は近くなりましたらホームページでご確認をお願いします。

卒業証書授与式案内

令和4年度第28回卒業証書授与式は、次の通り挙行します。
○卒業証書授与式
 日時:3月17日(金)午前10時
 場所:3F 講堂
○卒業式リハーサル
卒業式前日の16日(木)10時より講堂で行います。卒業予定者と送辞担当者は必ず出席してください。
○自治会主催 卒業生を送る会
 17日(金)卒業式終了後に講堂で開催します。

※卒業式、自治会主催 卒業生を送る会は、学生全員参加となっています。
※今年度、同窓会パーティーはコロナのため中止します。

各行事についての詳細は、掲示してお知らせしますので各々確認してください。

函館日ロ親善協会からのお知らせ
10~12月の主な活動実績

〇 主だった活動はありません。

係りより

あけましておめでとうございます。 いつもこの学報をお読みくださり、ありがとうございます。
さて、今号は、学生からたくさんの寄稿が集まりました。開校以来初めてのキルギスへの留学実習報告や、札幌および東京で行われたロシア語弁論大会での学生たちの活躍が際立ちました。2023年もたくさんのことを経験し、学生の皆さんにとって実りのある1年、そして明るく希望に溢れる年となることを願っています。今年もどうぞよろしくお願いいたします。(福尾)