極東の窓

ロシア極東連邦総合大学函館校がお送りする極東情報満載のページ。
函館から、ウラジオストクから、様々な書き手がお届けします。

シベリア横断鉄道

はこだてベリョースカクラブ

一般向け文化講座「はこだてベリョースカクラブ」の今年度第5回目の講話内容です。
テーマ:「シベリア横断鉄道」
講 師:イリイン・ロマン(本校講師)
「シベリア横断鉄道」という言葉は全世界の人が知っています。ヨーロッパの人も、アメリカの人も、アフリカ大陸の人も。それはシベリア鉄道がモスクワからロシア国内を横断し、日本海に面する極東の町・ウラジオストクまでを結ぶ、世界で一番長い鉄道だからです。
全長については諸説ありますが、ウラジオストク駅のホームにはその距離が9,288㎞という標柱が立っています。モスクワに鉄道駅は9つあります。シベリア鉄道はヤロスラフスキー駅から出発します。建物はウラジオストク駅とよく似ています。
1891年に建設が開始され、1916年に終わりました。当初は1903年に完成した東清鉄道がシベリア鉄道のルートでしたが、アムール川に架かるハバロフスク橋の建設により、現在のルートが完成しました。開通当初は極東地域からモスクワまで2週間程度で結んでいました。ハバロフスク橋は2,500mもあり、完成した当初は“20世紀の奇跡”と呼ばれました。現在の橋は上が車道、下が鉄道の一体型になっています。

世界最大の湖であるバイカル湖は、フェリーの中にレールを敷いて、列車がそのまま入って渡る形になっていました。このフェリーはイギリス製ですが、イギリスから2年かけて7,000個のコンテナでパーツを運び、ロシアで組み立てられました。冬は湖面が凍結するので、氷上にレールを敷いて渡りました。シベリアの冬は-60℃になります。建設作業に9万人が従事しましたが、永久凍土地帯にレールを置くのは大変な作業でした。
バイカル湖のそばにあるスリュジャンカ駅の建物はとても美しく、世界で唯一、加工されていない花崗岩でできています。花崗岩は近くで採掘されています。
1954年からは中国・北京から乗り入れる国際列車も週1~2本運行されています。ほかにもモンゴルの首都・ウランバートルを経由する路線や、モンゴルの西にあるカザフスタンからの路線など、現在のシベリア鉄道は様々な国から国際列車が乗り入れており、たくさんの旅行客に利用されています。
ロシアは9つのタイムゾーンに分かれています。ウラジオとモスクワの時差は7時間、イルクーツクは2時間です。シベリア鉄道はウラジオストク―モスクワ間を約150時間、7日間で結びます。停車駅は64駅です。ウラジオストク―ハバロフスク間は760㎞、約10時間かかります。
シベリア鉄道は料金が高いので、外国人や落ち着いた雰囲気で旅行したい人が利用します。シャワー室が使えるのは車掌だけなので、乗客は7日間シャワーなしです。車掌と仲良くなったら交渉次第で100ルーブルくらい払って、使わせてもらえるかもしれません。
治安が心配だと思いますが、とてもいいです。なぜかというと、身分証明書を見せないとチケットが買えないからです。車両には警察官も乗っています。ですから列車の中では泥棒は自分の仕事はしません。シベリア鉄道で盗難に遭ったという話は聞いたことがありません。
各車両にサモワール(湯沸し器)が付いていて、お湯も紅茶も無料です。ウラジオ―ハバ間の2人用コンパートメントで片道1万8千円くらいです。ウラジオ―モスクワ間の一等車(2人部屋)で料金は約9万円、飛行機の往復料金より高いです。二等車(4人部屋)は約4万円、食堂車は1食2千円くらいです。
年に3~4回しか運行しない「黄金の鷲」という豪華な列車があります。予約は1年前からですが、いつもいっぱいです。1人用、2人用コンパートメントがあり、中にはシャワーとトイレが付いています。食事もすべて付いています。出発前日にはモスクワで高級ホテルに泊まります。出発後も途中あちこちで観光しながら2週間かけてゆっくりとウラジオストクに向かいます。ウラジオストクでもまた高級ホテルに泊まり、帰りは飛行機でモスクワに戻ります。1等車は7㎡、2等車は5.5㎡、違いは部屋の広さだけです。料金は一番安くて約120万円、一番高いインペリアルスイートで約500万円、もちろん片道の料金です。