No.97 2018.10"Миллион звезд" ミリオン・ズビョースト/百万の星

極東大のPBL

ロシア極東連邦総合大学函館校 准教授 鳥飼 やよい

過日、全国大学コンソーシアム研究交流フォーラムに裏方として参加した。今回の開催地であるキャンパス・コンソーシアム函館のメンバー校として、極東大函館校が実行委員会の渉外部会に配置されたためである。日本各地の研究者や大学コンソーシアム関係者が集う当フォーラムの今年のテーマは「地域と大学のエンパワメント」である。エンパワメントempowermentの語義は「自信、力をつけること」であるが、社会学的には個人が主体的な力をつけることで所属集団に貢献し、結果的に全体を向上させるということで、広く先住民族や女性運動、市民運動、さらには地方自治や大学においても用いられる概念である。フォーラムでは、「大学生の地域との関わり」について、様々な実践成果の発表や有益な議論がなされ二日間のフォーラムは盛会に終わった。
ところで、フォーラムに先立つ打ち合わせでは専らPBLの現状についての話題に終始した。PBL (Project-Based Learning) はいわゆる課題解決型学習で、「地域と学生のエンパワメント」という今回のテーマには直球ど真ん中の話題なのである。函館の他大学では「病院の待ち時間を減らすソフト開発」や「函館ムスリム観光促進」等の成果を上げている。進行役として打ち合わせに参加した私にも「極東大学のPBLはどうですか?」と水を向けられ、「うちは授業数が他と比べて多く、学生数も少ないのでその余地はないです…」ととっさに答え、後になって、果たしてそうかと自問することになった。
極東大とPBL。相入れないコンセプトである。そもそも「エンパワメント」そのものが、欧米で盛んに言われるコンセプトであり、我がロシアでは社会学の項目として認知されてもいない節がある。結局、エンパワメントもPBLも行き過ぎた資本主義の歪みに対するオーバーコレクションの働きなのではないかとさえ思えるのである。
しかしである。見方を変えると、例えば「通訳派遣」では学期途中であれ需要があれば学生を現地に送り込む。学生は学習言語と実践のギャップを体験しその経験を持ち帰るまでが派遣である。しかし、もしも、さらに踏み込んで学生が個々の実践を分析しそれを教師が評価し後の授業にそれらの経験をフィードバックさせる過程を整えれば、一つの立派なPBLである。通常の授業が事前講習であるとすると、通訳業務とはターゲット地域に学生が入り、その地域の問題を定義し解決する方法を探るプロブレム・ソルビングである。それが地域の役に立ちエンパワメントにつながるではないか、などと考えた。すると更には、極東大の存在そのものが、日本におけるロシアという問題に果敢に取り組む一つの大きなプロジェクトではないか、とまで妄想が広がった。
次に極東大のPBLについてお尋ねがあったら、このようなことを述べようと思うのであった。

学務課お知らせ

АБВГ-Day開催

11月14(水)、第11回АБВГ-Day(アーベーヴェーゲーデイ)を開催します。これは学年問わず全学生が集う「言語のお祭り」です。函館校で学ぶ日本人学生はロシア語で、本学より留学中のロシア人学生は日本語で日ごろの学習の成果を発表しあいます。
学年の垣根を取り払い、学習成果を試し、かつ舞台度胸をつけるチャンスです。すぐに準備にとりかかりましょう。

冬季休業

今年度の冬季休業は、12月17日(月)から1月11日(金)までです。
期間中、平日は事務局での各種手続き、図書室の利用は可能ですが、12月31日(月)~1月4日(金)は、年末年始休業のため校舎を閉鎖します。
後期授業再開日は1月15日(火)です。

JASSO奨学金~給付型奨学生の皆さんへ~

給付型奨学金を受給している学生は、7月と10月の定められた期間内にスカラネットPSで「在籍報告」をしなくてはなりません。「在籍報告」は引き続き学校に在籍していること及び通学形態の変更の有無等を確認する大切な手続きです。在籍報告の提出がない場合は、振込みが止まり、給付奨学生の資格を失うことになりますので、注意してください。
 第2回10月の在籍報告期間は下記の通りです。
  10月1日(月)~10月12日(金)
  8:00~25:00※土日祝日も可

お知らせ

ロシア人留学生が来函します

今年も、ロシア極東大学留学生支援実行委員会の招きにより、ウラジオストク本学で日本語を学んでいる学生4名が函館校に留学します。日本語を学び、日本文化を体験するこの事業は今年で22回目を迎えました。
留学生は、ホストファミリーや函館校の学生との生活を通して、生きた日本語や、実際に日本を訪れなければわからない日本の文化・習慣を直接肌で感じ取ります。
函館校の学生と留学生との合同授業も行われ、一緒に学校行事にも参加します。積極的に話しかけ仲良くしてください。

◎期間:10月31日(水)~11月21日(水)
◎留学生のお名前
ゴロワノワ・アナスタシア   3年生
ヴォルチョック・クセーニア  2年生
ガサーノフ・エルヌール    3年生
フドービン・ヴァディム    2年生

第21回はこだてロシアまつり開催

今年度の「はこだてロシアまつり」は、来年2月9日(土)に開催する予定です。当日のプログラムについては、詳細が決まり次第、ホームページでお知らせします。

短信

小学生のためのマトリョーシカ絵付け体験教室を開催しました

8月7日(火)、夏休みの自由研究に役立ててもらおうと、本校ロシアセンターを会場に、小学生を対象とした「夏休みマトリョーシカ絵付け体験教室」を開きました。今年は4回目の実施で、小学1年生から6年生までの13名が参加しました。
最初にイリイン・セルゲイ校長から、マトリョーシカは日本の「だるま」が元になっている説もあることや、ロシアでのマトリョーシカの歴史や名産地について紹介があり、続いてデルカーチ・フョードル副校長が、ロシアの女性の民族衣装「サラファン」やマトリョーシカが必ずかぶっているショール「プラトーク」を見せながら、衣装の成り立ちや色の合わせ方について説明しました。
下絵は白木のマトリョーシカに先生があらかじめ鉛筆で引いてあるため、自分の好きな色を選び、好みの色が無い場合は、自分で絵の具を調合し、絵付けを行い、仕上げに自分の好きな絵や模様を描き足し、世界に一つだけのマトリョーシカを完成させました。

総合学習等受け入れ

本校では、修学旅行・宿泊研修・総合学習向けプログラムを実施しています。
8月27日(月)には、修学旅行の自主学習で、八戸市立新井田小学校6年生5名が本校を訪れました。 1時間の中で、イリイン・ロマン先生から、ロシア語のアルファベット(キリル文字)で自分の名前をネームカードに書き、バラライカやマトリョーシカ、サモワールといったロシアの民芸品に触れ、民族衣装に着替えて記念撮影しました。

国際会議「領事館開設160年記念 歴史と現在から見た日ロ関係」に参加して
本校教授 倉田 有佳

去る9月9日から12日までの日程で、ウラジオストクを訪問した。5年振りのウラジオストクである。訪問の経緯は、2018年が日露交流年であり、かつ日本で最初のロシア領事館が函館に開設されて160年ということから、ロシア領事館をテーマとする報告の依頼を在日ロシア大使館から函館校が受け、筆者が参加することになった次第である。
出発直前には、9月6日未明に北海道で発生した「胆振東部地震」の影響で、筆者の自宅は停電だけでなく、断水となった。水の確保に追われ、携帯の電源を心配し、丸二日間パソコンを打つこともなかった。幸い、函館を発つ前夜に電気が復旧し、大使館から届いたメールにより会議のプログラムを受け取り、ウラジオストク空港で出迎えがあることを確認できた。
このたびの国際会議は、9月11日から13日まで開催される「東方経済フォーラム」に先立ち、9月10日、フォーラム会場と同じ、ルースキー島の極東連邦総合大学で開催された。会場では、日露交流年を記念してロシアで出版された写真史料集(ロシアに所蔵されている貴重な文書と写真で最初の遣日使節アダム・ラクスマン来航から現在までの交流史を辿るもの)が配られた。
全体会議は、極東連邦総合大学アニーシモフ学長とエルミタージュ美術館ピトロフスキー館長の開会挨拶に始まり、続いて8名の来賓挨拶があり、研究者による報告では、ロシア科学アカデミー東洋学研究所ポポヴァ手稿部長から筆者を含め計8名が20分間の発表を行った。筆者は、「函館の三つの時代の領事館」をテーマに、幕末開港期に日本で最初のロシア領事館が函館に置かれた初代領事ゴシケーヴィチの時代、露領漁業の歴史と共に歩んだ20世紀のロシア・ソ連領事館、そして現在(21世紀)の函館事務所について、それぞれの時代の特徴をエピソードを交えながら述べ、160年に及ぶ函館の領事館の歴史を概観した。
昼食は大学の学食で取り、午後(15時から)の分科会では、第一セクション「文化と歴史」と第二セクション「日ロ関係の歴史と現在」に分かれ、20名ほどが報告した。
分科会には、ウラジオストクの研究者も多く、20世紀初頭のウラジオストクの日本人社会の研究者で、邦訳『ウラジオストク:日本人居留民の歴史1860〜1937年』の著作や、戸泉米子著『リラの花と戦争』の全訳(“Сирень и война”)を完成させた極東連邦総合大学ゾーヤ・モルグン助教授、元アルセニエフ博物館館長で、現在は沿海地方行政府文化部長のウラジーミル・ソコロフ氏など、旧知の研究者と再会した。
日本からは、サハリン国立大学ワシレフスキー教授と考古学の共同研究を続けている東京大学佐藤宏之教授と福田正宏准教授、『中東鉄道経営史』や『シベリア出兵』の著者である岩手大学麻田雅文准教授、そして『白系ロシア人とニッポン』等、日本語の著作も数多く出している青山学院大学ピョートル・ポダルコ教授が参加し、各研究成果について発表があった。
会場となった大学主要棟の中会議室(吹き抜け2階)の下では、経済フォーラムに出展するロシアの有名企業のブース設営が行われていた。
特筆したいのは、2014年に「ロシア極東大学留学生支援実行委員会」(※)の招きで函館校へ短期留学に来たヤーナと思いがけず再会したことである。当時大学3年生だったヤーナは大学院に進学し、卒業後「ロスコングレス」社に就職した。同社は、ロシア連邦で催される大会、展示会などのイベントを開催するロシア最大のオペレーターで、今回の国際会議のスポンサーでもある。ヤーナはプログラムの中に筆者の名前を見つけ、わざわざ会いに来てくれたのだ。
帰国後、函館留学中のヤーナをホストファミリーとして受け入れた佐藤さんに、ヤーナが英語・日本語の通訳として活躍していることなどを伝えると、たいへん喜んでくださった。


(※)函館の青年6団体(函館青年会議所、函館法人会青年部会、函館建青会、函館青色申告会青年部、函館商工会議所青年部、えぞ共和国)から構成され、函館日ロ親善協会がオブザーバーとなっている。今年で22回目、ウラジオストク本学から100名以上の学生を受け入れてきた。

最後に、ウラジオストク本学を会場とした国際会議の全体会議で発表できたことを光栄に思うと同時に、旧知の研究者や知人、そして元留学生のヤーナに会う機会が得られたことに感謝したい。

「日ロ交流写真展」が本校ロシアセンターで開催されました

在函館ロシア帝国領事館開設160周年、北海道・サハリン州友好・経済協力提携20周年、在札幌ロシア連邦総領事館函館事務所開設15周年を記念し、「日ロ交流写真展」が9月25日(火)から29日(土)まで函館校ロシアセンターで開催されました。
この写真展は、在札幌ロシア連邦総領事館が主催者となり、北海道、函館市、在日本国ロシア連邦大使館、北海道新聞社、日本ユーラシア協会が後援し、北海道日ロ協会、北海道・ロシア文化協会サハリン州政府、ロシア極東連邦総合大学函館校、函館日ロ親善協会、函館日ロ交流史研究会が協力しました。
25日のオープニングセレモニーには、工藤壽樹市長や本校イリイン校長ほかが来賓として参加し、また一般参加者を含め約50名が出席しました。ガルージン・ミハイル駐日ロシア連邦特命全権大使の挨拶では、最初に9月初旬に今年4回目となった東方経済フォーラムで、日ロの歴史研究者によるシンポジウムが開催されたことに言及され、交流を通した人々の相互理解が重要であることを強調されました。続いて今回の写真展では、いずれも明るい歴史の場面を示しており、未来志向のものばかりであることに触れ、未来に向けて日ロ交流の輪がさらに広がることへの期待が述べられました。

学生からの投稿

「北方四島交流事業」報告
ロシア地域学科2年 和田 将英

僕は今年7月20日から23日まで実施された北方四島交流事業で色丹島を訪れました。この事業の目的は、現地のロシア人との親交を深め、北方領土問題における国民同士の理解を向上させることにあります。この北方四島交流における色丹島の訪問は、今年度は初めてでした。僕自身、現地のロシア人と交流した初めての機会であり、また、学生として1年半ほどロシア語を勉強してきた成果を試す場でもありました。
根室で事前研修を終えたのち、船内で1日を過ごし、色丹島へ上陸しました。団員数は80~90人ほどでした。
今回の北方四島交流は、昨年までとは異なり、学生は自分一人だけでした。訪問団員の中には、元島民の方やその子孫の方々などもおられ、船内では様々な実談を聞く事ができました。特に印象に残ったのは、元島民の80代の女性の話でした。その方は、戦時中の日本人の色丹島撤退を題材とした物語(アニメ)『ジョバンニの島』の主人公のモデルとなった方(得能さん)の姉だそうです。年齢に見合わず、非常に活動的でエネルギーに満ち溢れた方で、「生きているうちに必ず島を返してもらい、それを見届けてやる」と話されていたことが印象に残っています。
そのほかにも印象的だったのは、色丹島でどのように暮らしていたか、ソ連軍が上陸してきた際、どうやって島を抜け出したかなどを悔し気に、一方で悲し気に語られたことです。僕を含め、周囲にいた直接島とはゆかりのない訪問団員の方々は、そうしたお話を言葉なく聞き入っていました。
また、訪問団の団長の方は80代と思われる男性の方だったのですが、彼もまた元島民で、先ほどの女性とは異なり、戦後しばらく島に残ったそうです。彼の話もまた真に迫るもので、上陸してきたソ連軍の軍人たちとは言葉が通じず、彼らに銃を向けられながら、機嫌を取るために様々なものを渡したなど、非常に恐ろしい体験をされたそうです。しかしその後は、今回のような島民のロシア人との交流の中で、多くのロシア人の友人ができ、それは喜ばしいことであるとも語られていました。これらの話を聞いて、この北方領土問題が一刻も早く解決されなければならない問題であることを改めて認識されられました。
色丹島での訪問は2日間で、この間の事業内容は、現地の施設の見学、食事会やホームビジットなど交流会が主なものでした。各施設は小学校や、消防署、発電所などの見学、日本人墓地での参拝などでした。
島内の移動は、現地の方がドライバーとなって10数台の車に分かれて移動しました。訪問団のうち、通訳は5人だったので、全ての車両に通訳の方が乗車したわけではありませんでした。僕が乗った車もそうで、ドライバーの方は28歳の若い男性の方でした。ロシア人の方々も、こちらでロシア語が分かるのは、通訳と一部の人だけだとわかっていたためか、最初のうちは、一切会話がありませんでした。ところが、途中休憩のときに「Морожное(アイスクリーム)」といいながらアイスクリームをくれたため、それに対して、僕が軽くロシア語でリアクションすると、僕がロシア語がわかると理解してくれたのか、少しずつ「学生?」など簡単なことを聞いてくるようになりました。しかし、聞き取るのはやはり難しく、言っていることの3割ほどしか理解できず、相手の言ったことに対する適切な返答をすることができなかったのが悔しく、残念でした。
同じ訪問団員の方で、ロシア人のホームビジットの受け入れなどをしていた高齢の女性の方に、「数日共にしたロシア人には、何か贈り物をした方がいい」とアドバイスを頂いたので、特に何かそういったものを用意する余裕のなかった僕は、財布に入っていた日本の硬貨を、移動時のドライバーを担当してくれたロシア人の男性へ渡しました。笑顔で喜んでくれ、嬉しく思いました。
建造物などはヨーロッパ形式の建築で、カラフルな建物が多かったです。特に学校は、日本とはかなり異なり、廊下がかなり横広で、校内は人が多くいても歩きやすい造りとなっていました。
事業一日目の最後は、現地のロシア人家庭へのホームビジットで、僕にとっては交流事業の中で一番楽しかった時間でした。訪問団が10グループほどに分かれ、ロシア人の家庭で夕食を共にするという内容でした。僕が訪れたのは、ご夫婦とお子さんが二人、そしてご夫婦の奥さんの母親の5人で暮らされているご家庭でした。

始めは通訳の方が同席してくれていたのですが、通訳の人数が足りないことからすぐに退席し、ロシア語に理解のあるのが自分と、講座で一年ほどロシア語を学んだという成人の男性だけというかなり緊張した時間でもありました。しかし、訪問先のご家族、特に奥さんの母親のレーナさんが大変親切で、優しく接して頂き、こちらもなんとかコミュニケーションを取ろうと努めました。
ここでも、こちらの言いたいことはある程度伝えれても、相手の言っていることが、少ししかわからないという状況が続きました。それでも、訪問先の方々が簡単な単語でゆっくりと話してくださったので、ある程度理解することができました。そして最後には様々なお土産を頂き、家を後にしました。
ホームビジット先の方々とは、次の日開かれた訪問団と現地のロシア人関係者全員での食事会で再びお会いし、楽しい時間を過ごすことができました。
今回の訪問を通しての交流、あるいは元島民の方々や今、色丹島で暮らすロシア人の方々の話を聞いて、この北方領土問題の様々な面を知ることができました。この問題の解決策や行く末は、まだ不明瞭な点が多いですが、今回の経験を様々な場で語ることが、自分や北方領土を訪れた人たちの責務であるため、この問題に対する認識の薄い方々へも広く伝えていけるよう努めていこうと思います。

函館市インターンシップに参加して
ロシア地域学科1年 山本 陽之

8月20日から23日の間、私は函館市役所のインターンシップに参加し、農林水産部各課で4日間の職場体験を行った。第一希望は、ロシア語が生かせ、国際交流を行っている企画部だったが、第二志望の農林水産部でとても良い体験ができた。私が農林水産部を志望したのは、生物が好きであることと共に、市がどのように販路に関わっているかを知りたかったからだ。
研修中は、午前中に各課の説明を受け、午後に実際に現場へ赴き市の行っている事業を見学及び体験した。私の思っていた事務仕事というのはほとんど無かった。
まず、一日目の午前中は、農林水産部の概要の説明を受け、午後からは農林整備課で実際に事業が行われた場所を見学した。その場所は、今朝熊が出没した場所の付近で、台風被害により、倒木した山、治山事業を行った山、市有林におけるスギの植林場所だった。熊の出没した所には、最近の出没情報を提示する看板があり、この年月日を自分が書き入れ、更新した(写真)。
普段立ち入らないような山の整備や災害への対策など詳しく勉強し、いつ起こるか分からない災害にどう対処するか、次に起こらないようにするにはどうすればよいかという市の事業例を見ることで、市民生活では気づかないような場所で数多くの努力があることを知り、改めて行政に対して感謝の念が生まれた。
二日目は、市場の仕組みを学んだ。私たちの元に食材が届けられるまでには、仲売り、卸売りを通して、生産者と消費者の両方にメリットのある仕組みにうまくなっていることを実感した。
三日目は、函館の各地にある特徴的な漁港を回った。函館の海、そして海で生計を立てている人たちは、市と道そして漁協によって支えられていることを実感した。
最終日は、道南農福連携ネットワーク2018年度夏期研修会に参加し、農福連携について学習した。農福連携とは、人手不足に困っている農家に、職を求めている障害者やニートの方々に働いてもらうという試みである。北海道では、まだまだ進んでおらず、行政が研修会を開き、認知度の向上に努めていた。
今回のインターンシップは、4日間という短いものであったが、1日1日が非常に濃く、充実した内容であった。第1次産業へ関わる部署であることから現地の人との、山や海等の自然へと、毎日のように向き合う職員の方の仕事には他の部署とは違った熱意を感じ取れた。私の職業体験に時間を使って頂けたことを本当に有り難く、また、学校でもこれらの体験を勉学へ生かせるように努力して行きたいと思う。

函館市インターンシップに参加して
ロシア地域学科1年 安井 燎大

私は9月3日から6日の間、函館市役所保健福祉部にてインターンシップに参加し四日間の職業体験を行いました。高齢の父を持つ私自身の家庭環境や日本が直面する問題に直接携わる部署の仕事内容に興味を持ったため、最初に希望した部署ではなかったものの、参加することに決めました。
初日は函館市役所での保健福祉部の成り立ち、仕組み、役割、業務内容などを分厚い資料を元に丁寧に解説していただきました。函館市は日本の中でも高齢化が先駆けて進んでいる市であり、課題にも早期に直面している市だということ、介護予防の重要性や地域包括ケアの役割など。全く知らなかったことや、今まで聞いたことはあっても“自分には関係ない”と目を向けていなかったことと真剣に向き合うことができました。
二日目以降は様々な業務の実務体験や、市役所の実施しているプログラムの運動教室の見学などを行いました。実務体験では、実際に窓口に来られたお客様への対応を見学し、提出された書類を指示通りに処理していく作業を行いました。この作業に求められるものはスピードと正確性であり、最初はちゃんとやれるかどうか不安でしたが、指導員の方に優しく補佐していただけたので後半にはスピードを上げてこなすことができました。
三日目は地域包括支援センターの見学と、生活支援コーディネイターの方との意見交換を行いました。市役所と連携して函館の福祉を支える現場の方に質問に答えていただいたり、普段の業務を丁寧に説明していただくことでより現実的な視点で市の課題について考えることができたと思います。
四日目は、未明に発生した地震による停電の影響で予定されていた業務を行うことができず、そのままインターンシップのまとめを行って終了となってしまいました。ですが、このインターンシップを通して学校では学べなかったたくさんのことを体験できました。少子高齢化は日本だけの問題ではなくどの国も真剣に考えるべき問題であり、その一端としてでも関われた今回の経験は今後の自分の人生で意義のあるものだったと感じています。
これからもロシアだけでなく様々なことに関心を持ち、自分の人生に活かしていくことができればと思います。

函館日ロ親善協会からのお知らせ
7~9月の主な活動実績

○ 9月8日(土)、9日(日)
「はこだてグルメサーカス2018」に今年も出店し、ピロシキとボルシチの販売を予定しておりましたが、9月6日(木)未明に発生した北海道胆振東部地震の影響によりイベント自体が中止となりました。どうぞまた来年を楽しみにお待ちください。


○ 9月25日(火)~29日(土)
 在札幌ロシア総領事館主催の「日ロ交流写真展」開催にあたり、協会として協力しました。オープニングセレモニー、歓迎レセプションには多くの会員役員が参加し、小柏哲史会長が乾杯の発声を行いました。


○ 10月以降の予定
 12月には協会恒例のクリスマスパーティーを予定しております。内容が決まりましたらあらためてご案内いたしますので、是非ご参加ください。

≪係りより≫

学生投稿から、四島(ビザなし)交流事業や函館市インターンシップの体験を通して大きく成長した姿が読み取れます。11月のアカデミックリンク、АБВГ-Day等、学内外のイベントに積極的に取り組んでいきましょう。(倉田)