No.80 2014.07"Миллион звезд" ミリオン・ズビョースト/百万の星

今日も明日も“До свидания”

ロシア極東連邦総合大学函館校 学務課 教務・学生係 福尾 瞳

この4月に事務局に着任いたしました。3月まで、高校の教員をしていた私にとって、ロシアについては、学校の世界史の授業で習った程度のことしか知識はありませんし、言葉なんてとんでもない!と思うほどに無知な状態です。しかし、無知というのは、不謹慎ではありますが楽しいものです。仕事も含め、新しい発見しかありませんので、毎日が新鮮で、学ぶことばかりです。
私が一番初めに覚えたロシア語は、До свидания(ダスヴィダーニャ:さようなら)です。なんと可愛い響きなのだろうと思いました。スパシーバやハラショーといったものは知っていたのですが、日々の生活の中で先生方は私と会話をする時には、日本語で話してくださることもあって使用する機会はありません。そんな中、До свидания は最もよく使い、唯一使う言葉です。この言葉のсвиданиеは「出会い」という意味で、挨拶文としては「また会いましょう」と訳すのが適切だそうです。ともなると前述した「До свидания」=「さようなら」になるのは間違いではないかと思われます。「さようなら」は別れの挨拶ではありますが、「また会いましょう」の意味は持ち合わせておりません。「さようなら」は元々、接続詞の「さらば(そうであるならば)」で、「さようならなくてはならぬ故、お別れします」や「さようならば、仕方ない」のように使われていました。これが変化し、文頭にある接続詞のみを言うようになり、別れた後のことは語らず濁す言葉となりました。ここには、実に日本人的な含意があるように思われます。
日本人は、含意が好きです。「押すなよ!押すなよ!」とテレビで芸人のやりとりを見ているとそれは「押せよ!押してくれよ!」という意味になります。言葉の表面上の意味だけを見ると「押すな」と否定の言葉なのに、この会話では「押せ」という肯定(むしろ命令)の意味を含みます。
これと同じように「さようなら」は、別れの場面で悲しいという気持ちを言葉では最後まで言わずに、別れを惜しむ気持ちだけを含めた言葉になったのだと思います。もしかせずとも、「До свидания」のような「また会いましょう」の意味も含んでいるのかもしれません。その意味を含んでいるとしても、日本人は「さようなら」の中に、やはりどこか悲しいものを覚えているのか、最近は代わりに「またね」「バイバイ」など、そのままの意味で捉えられるものを使うようになっている気がします。
 「さようなら」は古くから残る日本人の心だと思います。けれどもここの学生係である限り、学生の顔は毎日見たいです。学校は楽しいと、学ぶことは楽しいと思いながら過ごす姿を見たいのです。また、そうであるようサポートしたいです。この気持ちを忘れずにいるために、私はあえて「さようなら」は使わないようにします。毎日悲しい気持ちで別れるのではなく、明るく楽しい日を迎えられるよう、今日も明日もみなさんに「До свидания:また会いましょう!」と言っていきます。これから、よろしくお願いいたします。

人事

事務局の異動
5月31日付で、学務課教務・学生係の山内知恵さんが退職されました。
山内さんは元々本校の卒業生でもあり、平成16年3月の事務局着任以来、10年にわたり学生にとって一番身近な存在でした。時には親身になって学生の相談に乗るなど、学生が快適に勉強を続け、卒業するためのサポートをしてくれました。
さらに奨学金や留学事務、成績の管理など、多岐に渡る煩雑な業務をこなし、教員を補助する役目も担っていました。
6月から新しい仕事に就いていますが、その高い事務処理能力を生かして、さらに活躍の場を広げられることと思います。函館校同窓会の役員としては引き続き残りますので、みなさんとお会いする機会もあるでしょう。本当にお疲れさまでした。

学務課お知らせ

前期試験日程
今年度の前期試験を下記の通り実施します。ザチョット週間は、通常の時間割どおりに行われます。
エグザメン週間の日程については、掲示にてお知らせしますので確認してください。

ザチョット:7月22日(火)~7月28日(月)

エグザメン:7月29日(火)~8月8日(金)

зачётная книжкаの 携 帯
ザチョットナヤ・クニーシカは試験を受ける際に必要な成績簿です。卒業までの履修科目とその成績が記録される大切なものです。粗雑に扱わないようにしてください。
期末試験期間中は、このザチョットナヤ・クニーシカを必ず携帯し、登校してください。
1年生には7月に配付する予定です。

夏季休業
今年度の夏季休業は、8月11日(月)から9月12日(金)です。夏季休業中も平日は校舎の利用はできますが、8月13日(水)から15日(金)の3日間は、事務局休業のため校舎を閉鎖します。この期間は各種証明書の発行もできませんので注意願います。
後期授業は9月16日(火)より始まります。

短信

特別講義「日ロ貿易論」が開講されました

本校では、年に1回、杉本客員教授による特別講義「日ロ貿易論」を実施しています。
杉本先生は、東京外国語大学ロシア学科を卒業後、(社)ソ連東欧貿易会(現:ロシアNIS貿易会)、サハリン石油開発機構㈱に長年勤務され、さらに日本経団連日ロ経済委員会事務局長などを歴任、現在はERINA(環日本海経済研究所)副所長として、ソ連時代から現在に至るまでの長きにわたり、日ソ・日ロ経済関係、なかでもエネルギー問題の専門家として活躍されています。本年度は、時事問題を始め、以下のような内容で実施されました。

講師:杉本 侃(本校客員教授)
日時:6月9日(月)14:40~16:10

始めに:ウクライナ問題と日ロ関係
 1.停滞するロシア経済
 2.日ロ貿易:資源・自動車偏向は不変
 3.東日本大震災と日ロ経済関係
 4.ロシア極東地域の現状と日本
終わりに:日本を取り巻く国際情勢

「函館市内指定校推薦制度」について

本年度も5月末から6月上旬にかけて、市内の高等学校訪問を実施しました。本校は本年4月に開校20年を迎え、これまでにおよそ220名の卒業生を輩出してきました。このうち半数以上が道内出身者で占められていますが、近年は、関東(東京・群馬・茨城)、関西(京都・和歌山)、中部(愛知・静岡)・四国・九州などと、全国各地からも入学者を迎えています。
こうした中、函館市内の高等学校(全17校)の卒業予定者の入学を奨励するために、昨年度から「函館市内指定校推薦制度」を設けました。本年4月には、この推薦制度を活用し、2名の入学者をお迎えすることができました。
対象者は入学金が免除になるなどの特典がありますので、各高等学校の進路指導担当の先生にご相談ください。

26年度オープンキャンパス開催

去る6月28日(土)に第1回オープンキャンパスを実施しました。
今回は、函館市内や道内のみならず、東京、四国からの参加者をお迎えしました。デルカーチ副校長による1年生の模擬授業では、参加者のみなさんにも加わっていただき、声に出してロシア語を発音しました。
1年生にとっては、4月の入学時にゼロから始めたロシア語です。日々の授業に欠かさず出席し、宿題をしっかりやってきた成果を披露する機会になりました。これに対して参加者からは、3カ月足らずでここまで習得したことに驚きの声があがりました。

次回は、9月に第2回オープンキャンパスを開催します。入学をご検討中の中高生や保護者、そして、本校に関心をお持ちの社会人や一般の方にとって、オープンキャンパスは本校について詳しく理解していただける絶好の機会です。お気軽にご参加ください。教職員一同、お待ちしております。参加を希望される方は、前日までにお申し込みください。        
また、日時の都合が合わずオープンキャンパスに参加できない方などには、個別学校見学、授業見学を随時受け付けております。ご希望の方は電話もしくは、ホームページからお申し込みください。なお、試験期間等授業見学ができない場合がありますので、あらかじめご了承ください。
日時:第2回オープンキャンパス 9月21日(日)10:00~12:30
内容:教職員・卒業生・在校生による学校説明。
   ロシア語模擬授業。
   校舎内見学。
   歓談タイム(ピロシキとロシアンティーつき)他。
   *参加者には記念品を贈呈いたします。
問合せ・申込先:電話 0138-26-6523
        eメール info@fesu.ac.jp

就職支援体制について

本校では、事務局によるサポートのほか、
就職希望者には、『ハローワークはこだて』ジョブサポーターによる個別相談を定期的に行っています。
また、外部講師による『就職ガイダンス』やロシア以外の知識を広げ、世界情勢を読み説くために「貿易」・「エネルギー」など時事問題を取り上げた『ビジネスセミナー』を実施しています。このほか、『ジョブカフェ』主催のセミナー等も積極的に取り入れています。
これらは、学生のみなさんが早い段階から就職への心構えを身につけるためのものです。必ず出席しましょう。

TOEIC受験対策特別講座について

TOEICは英語によるコミュニケーション能力を幅広く評価する世界共通のテストです。自分の英語能力を把握できるとともに、企業でも採用・昇進の要件として利用されているものです。このTOEICに興味がある、既に受験経験があり更なるレベルアップを目指す、という学生を対象に、本年4月から隔週で月曜日の放課後に鳥飼やよい准教授が「TOEIC受験のための対策特別講座」を実施しています。
9月に函館で実施される公開テスト受験を目標として、初心者は自己のレベルを理解し、自己目標を設定しリーディング・リスニングの問題演習に取り組んでいます。
ロシア語のみならず、英語もしっかりと身につけ、在学中にTOEICを受けておきましょう。

JT奨学金

今年度から3年間の予定で、日本たばこ産業株式会社(JT)からの提供により、奨学金が新設されました。年間予算は1,529,600円で、学生の学習意欲の向上を図るため①ウラジオストク本学への留学実習や②夏季休暇短期インターンシップ(サンクトぺテルブルク・モスクワ)の2種類の事業について給付されます。
①に関しては2名の採用が決定し、9月の出発に向け、準備を進めております。
②のインターンシップ研修は、8月19日出発に決定し、3名の学生がサンクトペテルブルクにあるJTIペトロ工場の見学、モスクワの商社や本校の卒業生が勤務している企業での受け入れが予定されています。学生にとっては経済的負担が少ない中で在学中に見聞を広める絶好の機会です。卒業後の進路に生かせるよう、現地でたくさんのことを学び、帰国するよう願います。

学生からの投稿
1年生特集『本校に入学して』

ロシア語科 渋谷 えり

入学から約3ヵ月が経ち、私は改めて本校の魅力を実感しています。
もっとも強調すべきは講師陣の指導力の高さと充実した学習環境です。今まで私が受けてきた語学教育とは全く違う「生きた語学」がここにはあります。ネイティブの講師が多く、正しい発音指導はもとより、どのような場面でどんな言い回しを使うべきかなど、文法知識だけではカバーできない表現力を養うことができます。
さらに、もう一つ特筆すべきは英語です。専門はロシア語としながらも、コミュニケーションツールとして必要不可欠な英語力を習得できるように配慮されています。また、今年は十三年ぶりに入学者数が増加し、活気に満ちたこの学校で、共に学び、共に成長できる仲間に恵まれたことをうれしく思います。

ロシア地域学科 小谷 亜郁

本校に入学してもうすぐ3カ月目に突入しようとしています。1年生は1日に90分の授業を3~4コマ。科目は文法に会話、文化史や地理など。まさにロシア語漬けの日々を過ごしています。実践的な授業が多く、とても刺激があり、緊張感と充実感を味わっています。
今はまだ、毎日のように課される宿題や復習、日々増えていく単語と複雑化していく文法、自分の言いたいことが咄嗟にでないもどかしさと闘っています。
授業についていくのは大変ですが、独学ではなかなか続かない怠け者の自分にはこの上ない環境でもあります。何より、世界がぐんと広がります。新しい言語を学ぶことは、日本語との相違点だけでなく、言語共通の特徴の発見の面白さもあります。
やった分だけ自分の身になることを信じて、将来生かせるスキルを身につけられるように、これからもっと学びを深めていきたと思います。

ロシア地域学科 柴田 侑樹

2ヶ月前はキリル文字が分からなかった私がこの短期間で筆記体をマスターし、ロシア語の基本的な文法を理解できていることに自分でも驚いています。函館校では毎日文法と会話の授業があり、更にロシア文化史や地理、民族学などのここでしか受けられないような授業があります。ほぼ毎日新しい知識を得ることができるため、気がついたら1週間、1ヶ月と過ぎており、自分が楽しみながら勉強できているということを実感しています。
文法の授業では格変化に入り、会話の授業では色々な表現やロシア語と日本語のニュアンスの違いなど、日に日に覚えなければいけないことが多くなってきていますが、あまり焦らず、思い詰めずに楽しみながらこれからの4年間、勉強していこうと思っています。

ロシア地域学科 髙橋 由

この学校に入学し、最近ようやく新生活や学校生活に慣れ、函館という土地にもなじめてきました。
入学して感じたのは、授業のスピードが速いということです。日々、進むページ数に驚き、毎日入ってくる情報をインプットし、なんとか授業についていく…、そんな生活を送っています。ネイティブの先生が多く、親身になって教えて下さるので本当にありがたく思います。やはり、ネイティブの先生がいるというのは、とても安心感があり、心強い語学の味方でもあります。
また、ロシア語以外に文化史、民族学、地理などの授業もあるので、ロシア語の理解が一層深まります。函館とロシアの関係がいかに密接なのかということも理解できると思います。
ロシア語の勉強はまだ始まったばかりですが、後悔しないために精一杯頑張りたいです。

△熱心にロシア語の授業に取り組む1年生

お知らせ

小学生対象夏休みマトリョーシカ絵付け体験教室

ロシア人の先生が下絵を描いた白木のマトリョーシカに一人1個、色をぬります。小さなお子さんでも簡単に作業ができるので、夏休みの自由研究に最適です。大きさは、大・中・小あり、その中から1個選んでいただきます。またロシア語で作った名札もプレゼントします!興味がある方はぜひご連絡ください。

日時:8月12日(火) 9:00~12:00
場所:ロシア極東連邦総合大学函館校  ロシアセンター
費用:一人1,000円(当日いただきます)
定員:小学1~6年生 10名(先着順、付き添いの方もどうぞ)
申込:ロシア極東連邦総合大学函館校
   事務局までお電話でお申込み下さい。
募集期間:7月7日(月)~7月24日(木)
*ただし10名になり次第、締め切らせていただきます。
電話:0138-26-6523(月~金 9:00~17:00)

第17回はこだてロシアまつり開催日程

今年度の「はこだてロシアまつり」は、昨年同様、冬の開催とし、来年2月11日(水・祝)に行う予定です。

ロシア文化フェスティバル2014
IN JAPAN 日ロ文化交流コンサート

ロシア文化フェスティバルは今年で開催9回目を迎えます。全国80カ所の市や町で行われるプログラムの一つが、ここ函館でも開催されます。ピアニストのエカテリーナ・メチェーチナさんの演奏会ですが、ゲストとして函館出身で、現在はモスクワ在住の将来を嘱望されたピアニスト吉田千紗さんも演奏します。音楽という側面から、ロシアの文化に触れ、楽しいひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。
日時:7月23日(水)18:30開演
場所:函館市芸術ホール
*入場にはチケットの購入が必要です。
お問い合わせは市内の各種チケット取扱店へお願い致します。

函館日ロ親善協会からのお知らせ
4~6月までの主な活動実績

○ 訃報
当協会会長 倉崎六利氏は、かねてから病気療養中でしたが、去る6月6日に逝去されました。ここに生前のご厚誼を深く感謝するとともに、謹んでお知らせいたします。倉崎会長は、当会会長として、会の発展ならびに函館における日ロ友好親善の牽引役として長年にわたりご尽力をいただきました。
ご冥福を心からお祈り申し上げます。

<4月からの主な活動実績>
○ 6月20日(金)

理事会(於:極東大函館校会議室)を開催しました。倉崎会長逝去に伴い若山直副会長が総会まで会長代行を務めることが決議され、また総会提出議案について協議いたしました。

○ 7月以降の予定
昨年、一昨年と当協会が参加した『はこだてグルメサーカス』ですが、2014年は9月6日(土)・7日(日)に予定されており、当協会でも「開港都市と姉妹都市のひろば」に出店し、ピロシキ販売などを予定しております。
この他、今年は初代ロシア領事として1858年に函館に赴任したゴシケヴィッチ氏の生誕200周年にあたることから、移動展・記念講演などのイベントが9月末に開催される予定です。会員の皆様には、これら行事の日程や行事内容が決まり次第、別途お知らせいたしますので、ぜひご参加ください。

≪係りより≫

1年生は、ロシア語の授業と宿題に追われ、ロシア語漬けの毎日です。今月末には前期試験が始まります。それぞれの目標に向かってがんばりましょう。(倉田)