極東の窓

ロシア極東連邦総合大学函館校がお送りする極東情報満載のページ。
函館から、ウラジオストクから、様々な書き手がお届けします。

FMいるか 遠峯エレーナさんを迎えて 3

FMいるか「ONE WORLD WAVE」で放送された内容をご紹介する最終回です。
ゲスト:遠峯 エレーナ(以下レナ)
聞き手:財団法人 北海道国際交流センター
      事務局長 池田 誠(以下池田)
     ロシア極東国立総合大学函館校
      事務局 大渡 涼子(以下大渡)
<11月17日放送 第3回 函館での通訳の仕事>
池田:さて、3週目に入りました。
エレーナさんはまだ函館に来て1年経たないそうですけれども、どういう生活をしているのかなあ、と。今週はエレーナさんの日々のことをお伺いしたいと思いますが、どうですか、落ち着きましたか?
レナ:そうですね、落ち着いて専業主婦にも慣れて、だんだん仕事をやりたいなと思っていろんな仕事を探しているんですけれども。
池田:毎日料理は作らねばならない、という話でしたけれども、仕事もちょっとずつやっているということですか?
レナ:まだ正社員ではないんですけれども、バイトとして通訳とか翻訳もやっていますね。通訳は極東大学から頼まれたり…。
大渡:ええ、これだけ日本語がお上手ですから。
池田:上手ですよね。
レナ:いえ、まだまだですけど。
池田:ロシア極東大学でも先生方は通訳もやってるんですか?
大渡:ええ、ロシアといえば、ということでうちに通訳依頼が来るんですけれども、うちの先生たちも学生に授業をするのが本業で、なかなかそれが本業ではないものですから、うちでまかなえきれない時にはエレーナさんにお願いしたりとか。
レナ:よくあります。嬉しいことです。
池田:極東大学は函館だけじゃなく、ほかからも翻訳の依頼とか来るんですか?
大渡:そうですね。たとえば夏場、日本のいか釣り漁船がロシアの海域内に入るときには必ずロシア人のオブザーバーを乗せなくてはいけないんですよ。
池田:いか釣り漁船に?
大渡:ええ、中型の漁船だったら日本人船員が7~8人のところにロシア人がたった一人で乗り込んで、日本側が決められた漁獲量を守るか、きちんと監視するんですよ。
池田:日本人がイカを釣っている訳ですよね、それにロシア人が必ず乗っていると…。
今、漁火がたくさん見えてますけれども、あれにも乗っているんですか?
大渡:あれは小型でロシアの海域まで入らないので乗っていないと思いますけれども。中型だと例えばカムチャッカとかサハリンとか、ロシアの海域内に入ることがあるんですね。それはロシアの国と日本の国との取り決めで、入って獲ってもいいけれども必ずロシア人オブザーバーを乗せてくださいね、と。
池田:エレーナさんはそれに乗ったことがあるんですか?
レナ:いか釣りに行ったことはないんですけれども、オブザーバーが函館に来たときに、1ヵ月とか2ヵ月とか長い間船に乗るので、その間の食べ物とか作業服とかの買い物をするときに私が通訳したり。あとは船に乗った時点で書類検査がありますね、それで書類が全部そろっているかとか、ハンコが足りないとか、そういうのを通訳しています。
大渡:函館から船が出港しますよね。そのときに去年はサハリン、今年はカムチャッカからオブザーバーが来る、そのように決まっていて、函館から乗り込むときに1ヵ月分の必要なものを買いに行ったり、お食事に付き合ったり、ホテルのチェックインを手伝ったり。
池田:長くないですか?
レナ:日本にいる間だけなので、一日二日です。出航に関係あるので、例えば台風が来たときにみんな船が港に戻ってきて急に頼まれたりもします。
池田:どうですか、おもしろいですか?
レナ:おもしろいんですが…、ロシア人として恥ずかしいこともいっぱいあって、必要以上の物を日本側に買ってほしいだとか、態度が悪かったり。日本の船頭さんに悪くて悪くて私が自分から謝ったら、「ロシア人とは前にも働いたことあるけど、みんなそうですよ」って言われてすごく落ち込んで。みんなそうではない、って自分が例になって見せたいんですけれども、自分は一人だけ。オブザーバーは何人も。
池田:オブザーバーになったらいいじゃないですか!そしてロシア人は違うんだぞ!って。
レナ:船を見送るときに「さようなら、いってらっしゃい!」って私が言うと、「なんで、どこ行くの?一緒に乗って行こう」って言われたりしています。
池田:オブザーバーは、女性はならないんでしょうね。
大渡:今のところ見たことはないですね。
池田:ほかに函館で仕事しているんですか?あるいはこんなことやりたいな、ってことがあれば。
レナ:函館はロシアのウラジオストクとユジノサハリンスク、二つの市と姉妹都市交流をしていますね。それで毎年青少年交流団が来ています。旦那は市役所に勤めて、その青少年交流の担当です。それで交流団が来たときに私が通訳として一週間ずっとついてガイドしたり学校訪問したり、いろいろしています。
池田:そういうのって、日本の学校を見れたりするいいチャンスですよね。いろんな知り合いも増えていきますもんね。
レナ:そうですね。より多くの人たちにロシアの紹介も出来ますし。子どもたち、特に中学生なんか私が通訳したときにみんなびっくりしてますよ。英語じゃない!なんか変な言葉だ!って。
池田:みんな英語を話すと思ってますからね。
レナ:それと身体障害者の交流もやっていますが、スポーツ大会に来たんですね。サハリンから来たロシア人もみんな参加して、楽しくやっていました。
池田:いい交流ですね。でも、今年の3月に来てそれだけいろいろな活動をするっていうのは素晴らしいですね。
レナ:そうですね、でもシーズンは夏です。
大渡:季節的なものもありますけれど、函館とロシアって繋がりが非常に深いので、需要はたくさんあります。ですからエレーナさんのように上手な方がいるととっても助かります。
レナ:私も助かります。仕事があって楽しくやってて。
池田:やっぱり仕事したいですか?
レナ:ずっと家にいると落ち込むこともあるので、外に出ていろいろ活発にやったほうがいいですね。
池田:結構お友だちはいるんじゃないですか?
レナ:仲いい友だちは二人ぐらいですけれども、これからまたいろんな人と知り合って。
池田:函館は結構おもしろい人たちもいますし、極東大学の先生方もそれぞれおもしろいですから。
大渡:とても個性的な先生が多いので。
池田:極東大学の先生は標準ではなくて、個性的な人が多いんでしょうかね。いろんなことが出来る人が多いような。
大渡:どうでしょうね。ロシア人って、みんないろんなことが出来ますよね。
池田:音楽が出来たりとかね、料理が得意だったり。
大渡:家の修理なんかもロシア人は全部自分でやりますよね。エレーナさんも床の修理とかね。
レナ:はい、床を張り替えたり。
池田:えっ、日本に来てから床を張り替えたんですか?
レナ:はい。うちの床を張り替えました。
池田:借りてる家じゃないですよね?
レナ:ばあちゃんの家ですね、一応ばあちゃんに借りてるんですけど、ばあちゃんなので。大阪でやろうとしたときには旦那にやめて、って言われて…。
池田:なかなかおもしろいですね。自分のことは自分でやるっていうのがロシア人。
レナ:私が思うには日本人は自分の家でも業者に頼むんですよね。それだとかなり高くなるので、家の修理とかリフォームとかなかなかしないですよね。ですけどロシアでは4、5年に1回壁紙を張り替えたり。床は悪くなったときに張り替えますけれども、壁紙は模様を変えたいとき、気分転換にって感じでやってますね。
池田:いいですね、そういう精神はね。
いやー、いろいろお話をお伺いしましたが、3回はあっという間だったような気がします。今度はエレーナさんのコーナーを設けてもいいぐらい、まだまだお話ありますよね。
レナ:ありますよ、いっぱい。
池田:また是非、今度はボルシチでも食べながらお話を伺いたいと思います。
ますます函館でご活躍していただけるようにと思っております。