極東の窓

ロシア極東連邦総合大学函館校がお送りする極東情報満載のページ。
函館から、ウラジオストクから、様々な書き手がお届けします。

元気娘のウラジオ便り 番外編その1

 待ちに待った冬休みです!帰国した次の日から移動、実家石川から遠くはなれた静岡までやってきました!!!今回はいかにウラジオ便りではありませんが、ロシアと日本の文化の違いを痛感した出来事をご報告いたします。
 冬休み-それは私にとっては絶好の出稼ぎ労働期間といえます。今回お世話になったのは、浜名湖のそばにたたずむ「鞠水亭」さん、年末年始の3週間。着物を着たまま常に走り続けていた気がします。階段は常に2段とび。はだけて太ももまで見えていたこともありますが、色気とは無縁でした。山猿、弓恵とでもお呼びください。帰国前にロシア人に「仲居さん」の仕事をすると説明したところ、どれだけ言っても「芸者」だと勘違いされましたがこんな品のない芸者はまずいないと断言できます。
 実は私、2年前にロシア留学する前も3ヶ月仲居さんをしたことがありまして、結構なめてかかっておりました。いや、仕事を、でなく、自分の脳みその容量を、ですかね。過信していました。今回何が一番大変だったかというと、ロシアで当たり前のようにやっていた癖をいかにして出さずに接客するか、ということでした。
 例えば舌打ち。ロシアに行ったことのある方なら誰でもご存知。金髪碧眼の美しいご令嬢でもロシアでは些細な事で舌打ちをします。むしろ、単なる息つぎのときの舌打ちもすることありますよね??最初は「なんでかかなり怒らせちゃったのかな??」なんてどきどきしていた私も、今では癖になっていて簡単に出ちゃうんです。ところがどっこい、日本でやっちゃうとそれは大ひんしゅくもの。特に着物着て接客している間は最低です。いつもは文化の違いを意識して、出さないようにしているのですが今回は帰国して3日目。しかも船で戻ったためなんだか頭がボケていたようです。労働1日目、出ちゃいました。お客さんの前で。鞠水亭さん、ごめんなさい・・・ ついでに言うと、ロシアで何か聞き返すときは「ああっ?」って、暴走族のように勢いよく、かつ眉間に皺寄せて聞くのは普通。日本でやったら単なるアホ。ちなみに私はアホです。年末の忙しい中、この山猿のせいでクレームがついていなかったことを切に願います。
 さらに大公開しますと、「しゃもじ」という単語を忘れ、お客さんの前でジェスチャーでご飯を手ですくい上げるまねをしていきなりクイズを出したりってことも。いやあ、若年性健忘症か、それとも留学生の宿命か。がんがん日本語を忘れていました。
 ついでに、仲居さんたちとの意思疎通も難しかった!「おたたみお願い」と言われ、私の頭の中で2つの日本語が浮かび上がります。「畳-日本式の床のこと」、「たたみ-洋服などをきれいにまとめること」・・・常識で考えるべきですよね、はい。でもそのときは本気で目が点。さらにはやかんを渡され「かけておいて」と言われたときに「かける-①火にかける ②かべなどにひっかける」の両方が頭に浮かび、くそ忙しいときに聞きなおす始末。外国人の気持ちがよくわかりました。ニホンゴムズカシイ・・・
こんな妙な日本人でも、旅館の従業員の方々はとっても優しく(我慢強く)接してくださいました。本当にありがとうございます!!おいしいものも食べさせていただき、楽しいお酒に参加させていただき、さらに稼がせていただき本当に感謝です。
 そして何より嬉しかったのは仕事後のでっかい温泉と、洗濯機。蛇口をひねると常にお湯が出て、一日の終わりには馬鹿でかい浴槽に、身を沈めることができたこと!星がきれいで毎日感動。さらにはジーンズまで手洗いしていた私が、洗濯機に洗濯物を入れてボタンを押すだけの生活に戻れたこと!!!!!感激でした。幸せでした。文明よ、ありがとう。
 皆さん、ロシアに来てください。どんな小さなことでも幸せと感謝の気持ちを抱けるようになりますよ。日本最高。毎日自然と笑顔になります。
 鞠水亭さん、今回はみょうちくりんな日本人の身元引受人になっていただき、誠にありがとうございました♪

極東国立総合大学附属国際関係大学政治科学・社会経営学部
6年 寺 越 弓 恵