No.118 2024.01"Миллион звезд" ミリオン・ズビョースト/百万の星

  • HOME
  • "Миллион звезд" ミリオン・ズビョースト/百万の星

ヤンマにあこがれて

学校法人 函館国際学園(ロシア極東連邦総合大学函館校)理事長 渡辺 善行

函館校を経営する学校法人函館国際学園の理事長を務めてはや4年となりました。この間、個性豊かな学生の皆さんと有能で勤勉な教職員の皆さんのお陰で何とか工夫を凝らしながら、よせ来る荒波を漕ぎ渡って来ておりますことをまずご報告します。このミリオンを通じて当校をサポートして頂いている読者の皆様に感謝します。
毎年のように思い起こしてしまう妙なことについて記してみたいと思います。私の上の娘がある時、私の父のことを「極楽トンボだね、おじいちゃんは」と評したことがあり、その父のこだわりの少ない、人を愛してやまない性格であることが思い起こされ、それに続いて幼いころの私のすべてを魅惑してしまったヤンマの飛翔に思いが続いていくのです。
ヤンマは大型のトンボと言うべきか、しかしその飛翔力は大小の鳥や昆虫類のすべてを含めて比類するものがない。その飛翔の速さ、自由自在な展開、そして風の中でもそこと決めたらその場で必要な長さだけ空中にとどまっていられるホバリング能力、そして何時間でもノンストップで自分が決めたテリトリーの中を餌にする羽虫を求めて周回飛行ができる耐久性能。さらに、その容姿といえば透明エメラルド色の頭と胸、水色と銀色で塗分けた腰、チョコレート色の細くて長い尻尾、わずかに茶色シェードのかかった透明でカサッと乾いてよく使い込まれた4枚の羽根の美しさ。私のトンボ釣りとはこのヤンマの採集のことです。

2度目の引っ越しと転校で広い蓮の田んぼに面した家に住みついた小6の私は緑一色の蓮の大葉が密集して面々と遠く続いている上を飛翔するヤンマとそれを捕まえようと捕虫網を左右に激しく振っている同世代の男の子たちにその夏は心を吸われてしまいました。ヤンマは羽虫が集まって蚊柱を立てて宴会をしているのを見つけるとその中に猛然と突入して捕食するのです。われわれトンボ釣り男子たちはヤンマが悠々と周回飛行をしているのを見つけるや否や、針金で作った輪っかに木綿紐で編んである粗目の網を張ったのを竹竿の先に付けただけの捕虫網を競って左右に振り始めます。すると、このハンターたちの振る竿の先に張ってある網のせいでそれがあたかも羽虫の蚊柱宴会に見えるせいか、ヤンマはかなりの距離から網の左右の動きに合わせて飛翔経路を左右に修正しながらもの凄い速さで猛然と突撃して来ます。それに合わせてトンボ釣りハンターは捕まえたい一心の欲望と期待にくじけそうな予感で心臓をバクバクさせながらヤンマの速さに耐えようと目をむき、口をゆがめて、こんな~(この野郎)と罵声をあげてヤンマを網の中に突入させるのです。ハンターの裸足は既に深い蓮の田んぼの水の中です。カサカサと乾いて強そうな羽が網を嫌がる音を聞きながら、指でヤンマのエメラルド色の胸の左右をそっと挟むとヤンマは無念そうに口から牙を出し、体中の小型エンジンを全開にして震えながらヤンマ語でこんな~(何しやがる)と人間には聞こえない声で怒鳴りつけます。このような成功は毎日2~3匹はあるわけで、泥だらけのハンターたちの口にはヤンマの左右4枚の羽根を2枚にたたんで唇にくわえたのが1~2匹飛翔筋肉の小型エンジン全開状態で唇に挟まれてブルブルと微動を繰り返しているのです。
しかし、本当を言えば、ヤンマの突進に耐えて成功することより失敗の方が多いわけで、私が魅惑されたのはこの方です。
ヤンマは振られる網の寸前でたくらみに気づいて目にも鮮やかな急旋回をしたあと、何事もなかったように周回飛行に帰るものの中に稀に網が羽根をかすめてしまったのか九死に一生を得たものは予想もつかない飛翔にでます。それはすぐさま飛翔方向を青空に展開したと思うや気持ちの良い高速でらせんを描きながら上へ上へと昇っていきます。その上昇は優雅であり青空の奥から誰かがしている手招きに合わせてリズミカルに続いてゆくようで、眺めていると首が痛くなり、自分の体が揺れ始めて、やがて見失われてしまいます。
私の父が齢を重ねて8月のある日に逝ってしまう前に車椅子に乗せて病院の内外を散歩に連れて歩いていたある日、明かり窓を天井に大きくとった廊下で父が天井窓から入る日の光に顔を向けてしばらく楽しんでいたと思うと、よろよろっと右手を差し上げて何か心地よさそうな声で誰かとしゃべっているようでした。その右手はふらりふらりと旋回しているようで、ああ、網をのがれたトンボになっているのかと。40歳を大きく超えた時の父母の長男として生まれた私をワシの坊やじゃ、と人前で頭をなぜながら可愛がってくれた極楽トンボさんにつながるたわいない話で恐縮でした。
「トンボ釣り今日はどこまで行ったやら」千代女

学生からの寄稿

キルギス留学について
ロシア語科2年 金城 柊人

2023年8月28日朝の8時、自分他3人は留学先のキルギスへ向かうため、出発地である成田空港に集合した。ターミナルの窓から見慣れない航空会社の旅客機が並ぶ光景は、それまで海外渡航経験が皆無だった自分にとって新鮮だった。機内へ乗り込んだ時の高揚感とは裏腹に、経由地イスタンブールへ飛び、トランジットを経て首都ビシュケク・マナス空港に到着した頃には出発から17時間が経ち、かなりくたびれた。空港では、予約したタクシーの運転手を探すため早速ロシア語の出番がやってきたが、相手の会話のスピードについて行くのが予想以上に難しかった。ホテルに無事着いた頃には現地時間の早朝になっていて、ようやく仮眠を取った。以降、授業が始まる日までの数日は市内を散策した。
キルギスに着いて間もない8月31日はキルギス独立記念日で、ビシュケク中心部のアラトー広場には露店が並び、催し物を観ようと市民で埋め尽くされ、特設ステージからはキルギス語の歌が凄まじい爆音で流れていた。耳を悪くしそうだったが、民族衣装と思しき服を着た男女の歌や楽器の演奏など、異文化を見て触れることができて楽しかった。
留学先のキルギス国際大学では、タケン学部長とアジャール先生にそれぞれ会話と文法を教わった。内容はおおむね基礎的ではあったが、忘れがちな部分を再度叩き込む良い機会になった。日本語を学ぶ学生たちとの交流もあり、ロシア語でのやりとりはもちろん現地での食事や遊びも共に楽しんだ。この学生たちとの会話が最も実践的なコミュニケーションだったと思っている。少なくとも大学生はロシア語とキルギス語を話せるようで、時折混ざるキルギス語の会話はさっぱり分からなかった。
毎日昼前に授業が終わるので、食堂やレストランなどで現地の食事を味わった。食堂では中央アジアやロシア料理が安価で食べられた。特にピラフの一種である中央アジア料理のプロフはパラパラのチャーハンのようで、帰国後は気軽に食べられないことを惜しむほどに好物となった。夕食は現地で使われるデリバリーアプリ(Glovo)で各々頼み、自分は地元食堂の肉料理を日本円で1000円しないくらいだろうか、これをよく注文したほか、市内各地のレストランに皆で足を運ぶこともあった。
首都ビシュケクは街中で見られるキリル文字もあってかロシアの街並みのようで、碁盤目状の通りが南北に長く伸びていた。歩道はタイル張りがほとんどで、表面には独特な模様が彫られており中央アジアらしさも感じられた。レンタルの電動キックボードが歩道脇に多く停められていて、日本よりもずっと普及しているようだった。また街中で見られる車は半分が日本の中古車で、外国車と合わせて左右のハンドルが混在しているのには驚いた。
夜も賑やかな街だったが、人は優しく治安に問題を感じる場面はほとんどなかった。ただ、車の排気ガスのせいか空気の質が悪く、入国後2週間ほどで風邪を引いてしまった。ホテルでもお湯や水が出ない、停電といったトラブルもあり、復旧までは大人しく待機したこともあった。
国内最大の市場であるオシュ・バザールはいつも人でごった返していて、食料や日用品などが非常に安価な値段で売られていた。一方、デパート(ツム百貨店)では観光客向けのお土産のほか、輸入製品も高値で並んでいた。お店でのロシア語のやり取りは日を経るごとに少しずつ向上していったと思う。
全ての授業を終えると、お世話になった先生方と学生たちにお礼と別れの挨拶を告げ、最終日にマナス空港からイスタンブールに戻った。そこから成田行きは悪天候で遅れが生じたが、無事帰国できた。1ヶ月の短さを惜しみつつも、様々な発見と学びがあり自分自身の成長を実感できる留学だった。

△中央タケン先生とクラスメイトとイシク=クル湖にて

2023アカデミックリンク参加の感想
ロシア地域学科4年 弓田 眞悟

私は毎年アカデミックリンク(函館市内の学生による研究発表会)に参加していたが、もう四年生であるため、最後となる。これまでをふりかえりながら今回のアカデミックについての感想を述べる。
一年次のうちから自分の好きな生き物のことについてやってきた。一年生の時はロシアにおいて生物の名前がどのように決まってくるのか、について発表した。この際に、ロシアは島国の日本とは異なり、また大きな河川があることから、川の生き物がなじみ深いということを学んだ。
二年次のテーマ選びは当初、本学は北方四島に通訳補助としていくことができるということを知り、北方四島の漁業についてまとめようと思ったが、政治的問題が絡むため、断念し、一学年後輩の学生と共同作業を行った。その際、函館が昔、ロシアとともに北洋漁業で協力をしていたことを知り、またロシアの鮭鱒の食べ方についても学び、日本とは異なり、パンの上にイクラを添えて食べるといった食文化の違いもまとめることができた。そのおかげで審査員特別賞を授与することができた。
三年次はロシアとの関わりということは特に意識せず、自分の好きなバイカルアザラシについてまとめることにした。バイカルアザラシを知ったのは前の大学で水産について学んでいるときであった。当時はロシアについて全く知らず、どれくらい知らなかったかというと、日本以外の国の人が日本人のことをいまだに着物を着ている、侍がいると信じているのと同じくらい知らなかったが、今ではロシア人は普通にスーツをきて、近代的な生活をしているということを知ることができたのだなぁ、と感心した。バイカルアザラシについてはかなり詳細にまとめることができ、ロシアだけではなく、日本の情報も駆使し、調べ上げることができた。
このような経験を経て参加した四回目、今年で最後となるアカデミックリンクだ。去年まではコロナ禍の影響もあり、オンラインでの開催であったが、今年は私にとって初の会場を利用した、対面の参加であった。最後のテーマは私の卒論のテーマでもあるチョウザメに関するものであった。対面とのこともあり、説明はかなり大変であったもののうまく説明できたと思う。二年生のチームメイトの協力もあり、ポスターもうまく作成することができた。
残念ながら賞をもらうことはできなかったが、いままでできなかった他大学の生徒との交流をすることができ、また研究を見ることができたため、参加してよかったと感じた。

ステージ発表

2023アカデミックリンクに参加して
ロシア地域学科1年 早川 穂乃花

2023年11月3日(金・祝)にアカデミックリンクというイベントがありました。函館市内の8つの高等教育機関が集まって、それぞれで調べてきたオリジナリティ溢れる研究成果を発表するという内容のものです。私も今回、発表側として参加しました。
グループ内での意見の共有がうまくいかなかったり、ポスター制作に苦戦したりと、準備は思っていた以上に大変でしたが、当日までに形にして発表まで持っていけたことでさらにチームメンバーとの絆を深められて、良い経験になったと感じています。個人的に、アカデミックリンクに向けてつくったゆるキャラの「ミーシャ」は、自分の才能を存分に発揮できた努力の賜物だと思います。最初はこのイベントだけのために生み出したキャラクターでしたが、私自身彼をかなり気に入っているため、これからも様々な場面でミーシャを描いてゆくゆくは極東大函館校の公式キャラクターになったらいいなと考えています。これが今の私の目標です。
当日の会場は広く、他大学生や高専生、青森から来た参加者など様々な人がいて人見知りな私はとても緊張しました。普段、学校外での人との関わりが少ないため、久しぶりの外部との接触でした。また、学んでいることがどこの教育機関も異なっているので、新たに知ることも多く、新鮮な気持ちでアカデミックリンクを楽しむことができました。他大学ならではの特徴のある研究内容はこういう機会がないと基本的に触れることができないので、こういったイベントは地域活性化や大学生同士のコミュニティを広げるのに最適な場だと思いました。各ブースは函館スイーツの魅力を発信するアプリ紹介や、イカ墨を利用した髪の染色料の研究、音に反応するぬいぐるみ公開など、各高等教育機関の個性が出ていて、どれも興味深くて面白かったです。
イベント自体も楽しかったのですが、最後の片付けが全体で一丸となって協力できたので私の中ではそれがアカデミックリンクでの1番良かった思い出です。広い武道場を元に戻す作業は大変でしたが、全員で力を合わせてスムーズに進めることができました。
最後に、このアカデミックリンクを通じて貴重な経験と新しい知識を身につけ、自分の成長を感じることができました。来年も機会があれば、また参加したいです。

全道ロシア語弁論大会に出場して
ロシア語科2年 福留 聖司

この度、札幌市で実施された全道ロシア語弁論大会Aクラスに出場し、1位となったロシア語科2年の福留です。弁論大会については、かつての学報より、函館校の諸先輩方の活躍を知っていたため以前より興味があり、自身も卒業年次であることから、今回参加してみることとしました。
テーマについては、自身がかつて商船高専・商船大学に学び、長らく船に関わってきたことから、まず船に関する題材を考えました。そして、普段散歩する函館港・西ふ頭に復元された幕末の帆船・箱館丸があることから、箱館丸を始めとした洋式帆船と函館の関わりについて話すことを思いつきました。
スピーチの原稿を作成するにあたり、まず函館市中央図書館にて文献調査を行うこととしました。調査により、幕末における箱館奉行所の箱館丸、そして僚船・亀田丸の建造、亀田丸の露領・ニコラエフスクへの航海、明治維新後の函館における盛んな洋式帆船の建造等、様々なことが分かり、それらの結果を基に原稿を日本語でまず作成し、その後ロシア語に翻訳、さらにイリイン・ロマン・セルゲーヴィチ准教授にロシア語の校正をしていただきました。
さらに、イリイナ・ソフィア先生に、発音・イントネーションの指導をしていただきました。先生には、スピーチの手本の録音もいただき、本番前に何度も繰り返し聞くとともに、それに基づき自身のスピーチも練習しました。
今回私が出場したAクラスは、ロシア語学習歴2~3年以上の者を対象としており、スピーチの他に審査員からのロシア語による質疑応答もあるため、聞かれるであろう質問事項を想定し、それに対する回答も準備しておきました。
さて、いよいよ弁論大会当日です。札幌市の北海学園大学豊平キャンパスが会場でした。会場では他の出場者が慣れた感じでリハーサルをしているのを見て、雰囲気に吞まれそうになりましたが、取り合えず、落ち着けと自分に言い聞かせました。
大会が始まり、学習歴を問わないCクラス、ロシア語学習歴1年程度ないしは初級相当の者を対象としたBクラス、そしてAクラスの順にスピーチが進んでいきますが、スケジュールを見ると、自分がAクラスの一番最後であり、緊張感が増しました。本番前は「もし途中でセリフが飛んだらどうしようか」などと不安にもなりましたが、自分の番が来たときにはもう余計なことは考えず、普段の練習通りにやることを心がけました。
スピーチが全て終わり、休憩時間をはさんでいよいよ結果発表の時間となりました。自分が1位になることはないだろうと思っていましたが、Aクラスの1位として自分の名前が呼ばれたときは正直に言って驚きました。しかし、これも諸先生方の指導のおかげだと感謝しております。
私はまもなく卒業であり、このような大会に出場することはもうないと思いますが、今回の経験を今後のロシア語学習の励みとしていきたいと思います。

全道ロシア語弁論大会を終えて
ロシア地域学科1年 渡邉 晟矢

今年、日本での熊の出没による被害は災害レベルだったと言えるだろう。函館でも被害が頻発しており、私の地元、東北でも同様だった。そこから熊に関心を持ち、ロシア語を通じて、自分の考えを表現したいと考えた私は、本大会に熊をテーマにして出場することに決めた。
事前にテーマを決めていた為、出場を決断してすぐ和文原稿の作成に着手した。しかし、文章をまとめるのが難しい。和文だけならまだ簡単だったかもしれないが、文章は後にロシア語に訳し、審査員のロシア人にも意味が伝わるよう工夫する必要がある。この難関は、ロシア人の先生方と渡辺理事長にたいへん力を貸して頂いた。先生方からは、ロシア人の熊に対するイメージや、関りの歴史を。理事長からは、文章上での国際色豊かな表現の仕方を教授して頂いた。
そうして2週間以上かけて和文が完成した後は、露文への翻訳、そして発表に向けての練習が必要だった。これは、担当教官のデルカーチ・フョードル先生に、発表までの約1ヵ月間、ほぼ毎日、放課後付きっきりで指導して頂いた。特に苦労したのが、原稿の暗記と発音であり、デルカーチ先生にはサンプルとなる音声データを作成して頂いたほか、舌の動きから、単語の1文字1文字に至るまで、徹底的に指導を受けた。そして私は、なんとかそれを自分の物にすべく、昼休み、帰り道、自宅の浴室、大会前日のホテルでも練習に励んだ。
札幌で行われた大会には、多くの出場者が来場し、私が参加したBクラス(ロシア語学習歴1年程度が対象の部)には、同級生含めて9人が出場した。年齢層は様々で、高校生から大学生、上は高齢の方までが、趣味、食べ物、職業、愛などの多岐にわたるテーマで競い合った。壇上での私は、始めこそは緊張していたものの、今までの練習量に自信を持って発表することができたためか、Bクラス優勝というこれ以上ない結果を残すことができた。また、本校の先輩方、同級生と表彰台に立てたことも嬉しかった。大会後は、他校のロシア語学習者、来場者と審査員のロシア人の方々と交流することができ、特にロシア人の方々とは、ロシア語を使って会話ができたことが何よりの幸せであり、勉強にもなった。
このように最高の結果を残せたのは、4月からロシア語学習をスタートさせたばかりの私の挑戦を後押ししてくれた先生方、そして、いつも学習において刺激を与えてくれる同級生とサポートしてくれる周りの方々がいたからだ。この結果だけに満足せず、貪欲に勉強することが恩返しになると信じて、これからも学習を続けていこうと決意している。

いつかお会いできますか?
ロシア地域学科1年 一ノ渡 夏菜

トテトテと黒い冬靴の硬い厚底で夏とは違う印象を響かせながら道に沿う。いつもいる人がそこにはいなくて、他は口をつぐんで斜め下を向いていた。その響きは決して軽くはなくて滑ることを恐れ、濡れて色が変わっている地面を避けながら、その音を自ら気にしては遠慮気味に進んだ。秋の紅葉も過ぎてしまったが、その顔だけが地面に残っていた。これが薄氷となれば、また綺麗なのでしょう。一歩出た時外の冷たさを肺で感じると不思議にも気分が上がり、「もう積もっていてくれないか」とだけ口にしてしまった。
では本題へ。АБВГ-dayとはいったい何か?まだ最初の年でありますし経験したことが無くて分からないというのは当たり前のことですが、オープンキャンパスでの説明を思い出しても【その年のロシア語の成果を競い合う】それは自分には全く想像が出来ませんでした。そんな時「АБВГ-dayにはどんな内容の詩がいいですか」と授業中、先生に問われた時「少し悲しい話でお願いします」そう私はお伝えしました。そして手渡されたのがСергей Александрович Есенинの『Пороша』でした。私は人と人との悲しさを想像していたので、「冬」の自然を悲しいという印象でとらえる、これは一つの発見になりました。「まさにこの時期だよ」と先生がおっしゃいました。そして何人かの先生に読み合わせをしていただき抑揚、繋げて読むべきところ、声量、そして詩を暗記すること。「一字一句覚えられるだろうか…」悪い想像の方が多くなってしまい次第に行き詰っていきました。しかしある時、声をかけてくださった先生が一緒に動画を視聴してくれ、単語の意味の説明と「この時のイメージはこの声量で」や「動きを付けたらどう?」と私の練習も交えながら実演してくださったのです。帰宅途中には詩が書かれた紙を片手に全体の動きを頭の中に置き、帰宅してからはイメージした服装で窓を開け放って何度も練習しました。そんな中でも悩んだときは、母の助言であるその作者の人柄、その時置かれていた状況や心の動き感情を想像したらいいと…。白銀の太陽が微笑んだように雲が晴れ、あの発表に至りました。温かい大きな拍手、祝福を伝えてくれた心優しい方々。制限一杯まで丁寧な御指導や、音楽の提案をしてくださった先生、当日まで色んな形で支えてくれた方々、御礼申し上げます。大変ありがとうございました。
「セルゲイ・エセーニンは生きているよ」あなたの言葉を忘れません。

短信

АБВГ-Day

12月6日(水)ロシア語学習促進と発表の場としての言語まつりАБВГ‐Day(アー・ベー・ヴェー・ゲー・デー)が開催されました。
日ごろ学習しているロシア語で一人3分から5分ほどの発表をする個人発表の部から始まります。この発表順はくじ引きで決まり、詩の暗唱や自身の得意なテーマについてロシア語による5分程度の発表を行いました。
次は団体の部です。学年の垣根を越えた混合3チームでロシアに関係する早押しクイズなどを行いました。先輩、後輩関係なく助け合い、大いに盛り上がりました。
終了後は表彰式となりますが、4年ぶりにお茶会とともに実施しました。日頃の学習成果を称えあい、皆で発表の感想などを交え、楽しい会となりました。

△団体の部の様子

 結果は以下のとおりです。
<個人の部>
第1位 ロシア地域学科1年 一ノ渡 夏菜
 暗唱「新雪」 «Пороша» С.Есенин

第2位 ロシア地域学科1年 岩岡 正悟
暗唱「ソーニャ」 «Соня»

第3位 ロシア地域学科1年 渡邉 晟矢
  発表「熊と人間」 «Про медведей и людей»

アーティスト賞 
ロシア地域学科1年 一ノ渡 夏菜
  ロシア地域学科1年 岩岡 正悟

<団体戦の部>
Слива組(弓田眞悟、中村百李、佐藤宏夢、依田純佳、渡邉晟矢)

全道ロシア語弁論大会・創価大学ロシア語スピーチコンテスト出場結果

12月2日(土)、『第55回全道ロシア語弁論大会』(日本ユーラシア協会北海道連合会主催)に函館校から4名の学生が参加し、ロシア語学習歴2~3年以上が対象のAクラス、およびロシア語学習歴1年程度のBクラスのそれぞれ1位・2位を独占する好成績を収めました。函館校からは毎年1~2名が出場し、これまでも1位を獲得することが多かったのですが、コロナが収束し、出場者も増えた対面開催の今回において4名も出場したうえで上位を独占できたことは大変喜ばしいことです。全道大会という名称ではありますが、青森や秋田、遠くは岡山からも参加者がありました。結果は以下の通りです。

【Aクラス】 5分間のスピーチと質疑
1位 北海道連合会賞 
ロシア語科2年 福留聖司
    「箱館丸が物語る帆船の日本史」
2位 NHK札幌放送局賞 
ロシア地域学科4年 弓田眞悟
    「世界一下手な画家『アンリ・ルソー』」

【Bクラス】 3分間のスピーチ
1位 北海道新聞社賞 
ロシア地域学科1年 渡邉晟矢 「熊と人間」
2位 道連ロシア語委員会賞 
ロシア語科1年 本間大祐「道東林業の1日」

さらに、12月17日(日)、東京の創価大学で開催された『第31回ロシア語スピーチコンテスト』に出場した、ロシア地域学科1年 岩岡正悟さんがロシア語学習歴2年未満を対象としたエレメンタリー部門で第1位を獲得しました。この部門は同じ課題文を全員が暗唱により競うもので、岩岡さんはАБВГ‐Dayでも披露した課題文「ソーニャ」 «Соня»を対面で披露し、暗記はもちろん、発音や相手の心に響く発表か、などが総合的に評価された結果と言えるでしょう。

今年は例年以上に外部のコンテストに挑む学生が多く、特に1年生の積極的な姿に学校全体がよい刺激を受けています。

オトナのマトリョーシカ絵付け体験教室

12月2日(土)、今年で3回目となる中高生以上の大人が対象の教室が開催されました。はじめに講師であるデルカーチ・フョードル副校長が、マトリョーシカの歴史や伝統的な民族衣装の構成について説明しました。続いて、講師が鉛筆で下絵を描いた白木のマトリョーシカに好きな色を塗っていきます。絵の具の配合や筆運び、塗る順番などに気を配りながらみなさん黙々と作業していきますが、絵心のある方ばかりのようで、とてもきれいに仕上がりました。
3時間かけて、頭に被るプラトーク(ショール)や袖にロシアらしい模様を付けたり、顔の表情によってそれぞれ個性豊かなマトリョーシカが完成しました。時間の都合で通常は一番外側のマトリョーシカ(今回は3ピースを使用)だけ塗りますが、中のマトリョーシカをサンタクロースと雪だるまに仕上げた参加者もいて、ユニークですね。
最後にツヤ出しのスプレーをかけて、美しく仕上がったマトちゃんたちを手に、笑顔で記念撮影をしました。

就職

1~3年生向けの就職支援が年明けから本格的にスタートします。学校では外部講師を招いた説明会の開催や、事務局による個別相談、履歴書作成や面接の練習などのサポートをしています。まだ先のことと考えず、活動を始める前に慌てないため、また就職後のミスマッチを防ぐためにも一つひとつ着実にステップを踏んで、自分の将来を明確に捉えるよう活用してください。

ジョブカフェ「企業と学生の交流会」開催の案内

学生が就職活動前から“働く”イメージを持ち、社会人の一員としての準備期間を送ることを目的とした交流会を開催します。2企業に参加していただきます。
ウロコマシナリー社は合板機械を設計・製作する会社で、ロシアとも取引があり、現在函館校の卒業生も勤務しています。
近年学生に人気のホテル業界からは、市内の老舗・函館国際ホテル担当者のお話を聞くことができます。
1年生が対象ですが、他学年でも参加可能です。この機会を積極的に活用してください。

日時:1月15日(月) 14:40~16:10
場所:3F 講堂
講師:株式会社 ウロコマシナリー 総務・経理部 松本光平 氏
   株式会社函館国際ホテル   総務購買課長 吉田政義 氏
 対象:1年生は全員参加、他学年は任意です。
 主催:ジョブカフェ北海道

学務課お知らせ

卒業試験日程
1.ロシア地域学科4年生は、下記の日程で国家試験を行います。
国家試験    3月 7日(木)
卒業論文審査会 3月 8日(金)
       (場所:3F 講堂)
2.ロシア語科2年生は、下記の期間内で卒業試験を行います。
3月4日(月)~3月8日(金)


後期試験日程
1.ザチョット  2月26日(月)~3月 1日(金)
2.エグザメン  3月 4日(月)~3月 8日(金)
3.再試期間   3月11日(月)~3月15日(金)
 卒業年次以外の学生にのみ、この期間に再試験を行うことがあります。

出席率不足の学生は
本校は出席率80%以上が期末試験の受験資格となっています。出席率が低かった学生は受験資格を得るため担当教員の指導を受けてください。

JASSO奨学金 継続願提出の手続き
奨学金継続願は学業を続けていくために奨学金が来年度も継続して必要か否かを奨学生自身が判断し、提出(入力)するものです。貸与奨学金・給付奨学金どちらの場合も継続する場合は必要となります。
貸与奨学金を利用している学生は、卒業後に返還する義務があることを十分自覚した上で、スカラPSから継続願を提出してください。
給付奨学金を利用している学生で停止中の場合や他の国費を受給中で給付月額が0円になっている場合でも提出は必要です。
給付奨学金・貸与奨学金、どちらも利用している学生はそれぞれで継続願を提出する必要があるので注意してください。
継続願の提出期間は下記のとおりです。

提出期間:1月10日(水)~1月26日(金)
提出(入力)先:スカラネット・パーソナル  https://scholar-ps.sas.jasso.go.jp/mypage/

※入力が確認できない場合、4月からの奨学金の振り込みが止まります。入力し忘れには十分注意してください。

学年末休業
3月18日(月)から4月4日(木)までの期間は、学年末休業となります。事務局は通常営業しています。

令和6年度入学式と教科書販売について
令和6年度入学式は、4月5日(金)午前10時から行います。在校生は、新入生をあたたかい気持ちで迎えるため出席をお願いします。
なお、教科書販売は、入学式終了後の午前11時半頃を予定しております。在校生は事前に掲示される教科書の販売金額を確認の上、お釣りの無いよう現金を持参してください。
前期授業は翌週、4月8日(月)から始まります。

パスポートの取得について
今年、留学実習が予定されるロシア地域学科2年およびロシア語科1年の学生で現在パスポートを持っていない、あるいは期限が切れそうという学生は、3~4月の春休み中に必ずパスポート取得手続きを行ってください。現時点では留学実習もインターンシップについても詳細未定ですが、新年度になったら、すぐに留学準備を始めます。その時に機会を失うことの無いよう、いつでも行ける準備はしておきましょう。
なお、ロシアへの渡航の際、パスポートの有効期限は、申請するビザの出国期限より6ヶ月以上必要です。渡航前にしっかりとチェックし、不明な場合は事務局に個別に確認してください。

お知らせ

2024オリジナルカレンダー販売中

今回で8年目となる、毎年大好評のオリジナルカレンダー、2024年版の販売しています。
2023年8~9月に留学実習を行った旧ソ連構成国である中央アジアの国・キルギスで学生が撮影した写真のほか、現在モスクワやサンクトぺテルブルクに駐在する卒業生が撮影した“今のロシア”の写真を使用しています。雄大な自然や美しい建物の様子をお楽しみいただけるほか、月や曜日、祝日はロシア語でも表記していますのでロシア語学習にもお役立てください。
カレンダーは本校事務局で1部500円にて販売中です。収益は学生食堂を利用する学生に対して昼食代の一部を助成することに活用させていただきます。
郵送ご希望の場合は1部610円(送料込み)で販売しています。その場合、郵便切手でのお支払いとなりますので、住所・氏名・電話番号を明記の上、610円分の切手を事務局宛てにお送りください。切手はなるべく10円切手1枚と100円切手×6枚でお願いします。また、複数部ご希望の場合は送料が変わりますので、その旨お問合せください。
詳細はホームページ こちらをご覧ください。

(昨年の実績)      
販売                 131冊
学生の昼食代助成に活用した収益  42,051円

*みなさまのご理解・ご協力に感謝申し上げます。

オンラインオープンキャンパスのお知らせ

1月20日(土)10:00~11:30に今年度最終のオープンキャンパスを行います。一般後期入試出願に間に合いますので、今年度の出願を検討中の方はぜひご参加ください。今回はZoomを利用した、オンラインのみとなります(対面では実施しませんのでご注意ください)。職員によるガイダンス(本校概要・入試・奨学金について)のほか、学生による学生生活紹介や1年生のロシア語文法(デルカーチ・フョードル副校長)の模擬授業をご覧いただくなど、本校をより理解していただくためのプログラムを予定しています。
「オープンキャンパスには行きたいけど、遠方でなかなか参加できない」などの理由で参加を諦めていた方も、自宅でスマートフォンやパソコンから簡単に参加できます。
お申込みは、こちらのお申込みフォームから、必要事項をご記入していただければ、担当者より追って詳細についてご連絡いたします。
本校への進学を考えている方、あるいは保護者の方もこの機会にぜひご参加ください。

模擬授業の様子

第26回はこだてロシアまつり

2月10日(土)に開催します。今年は4年ぶりに、コロナ禍前のフル開催(飲食・プログラムに制限なし)を目指してただいま準備中です。ポスターとスタッフTシャツのデザインは学生・教職員による公募、投票の結果、ロシア地域学科1年 早川穂乃花さんのデザインに決定しました。Tシャツは当日学生教職員が着用するほか、販売もします。
今年のまつりテーマは「ГДЕ БЛИНЫ, ТУТ И МЫ!~ブリヌィあるところ,我らあり!」に決定しました。『ブリヌィ』とは、ロシアのクレープのことです。春を呼ぶロシアの伝統儀式「マースレニッツァ」では、このブリヌィを太陽に見立てて、皆で食べてお祝いする習わしです。中身はジャムやサワークリームなど甘いものから、おかずになるようなものまで、様々な具を包みます。ロシアカフェではこのブリヌィのほか、温かいスープやピロシキなどロシア料理を味わえます。今年のブリヌィの中身が何になるかは、お楽しみに!
また、屋外で行うマースレニッツァ(体長2mの藁人形を燃やして冬を追い出す寸劇や歌)以外の催しは、校舎内での実施を予定しています。
キオスクでは、マトリョーシカや木工品など可愛いロシア雑貨のほか、学生が留学に出かけたキルギスのキーホルダーや民芸品なども販売します。
毎年人気の体験コーナーでは、ロシアの民族衣装試着体験や、ロシア語で自分の名前を書いて缶バッジにしたり(材料費100円)、「ロシアクイズに挑戦!」などを計画しています。
そのほか、学校の農業プロジェクト・アグリ八幡坂の活動紹介、学生によるキルギス留学体験や人気漫画「ゴールデンカムイ」についての発表、はじめてのロシア語教室、合唱サークル・コール八幡坂によるステージショーなど盛りだくさんな内容で、一日お楽しみいただけます。
学生たちがアイディアを出し合い、鋭意準備中です。詳細は近くなりましたらホームページでご確認をお願いします。

卒業証書授与式等案内

令和5年度第29回卒業証書授与式は、次の通り挙行します。
○卒業証書授与式
日時:3月16日(土)午前10時
場所:3F 講堂
○卒業式リハーサル
卒業式前日の15日(金)10時より講堂で行います。卒業予定者と送辞担当者は必ず出席してください。
○自治会主催 卒業生を送る会
16日(土)卒業式終了後に講堂で開催します。

※卒業式、自治会主催 卒業生を送る会は、学生全員参加となっています。
※同窓会パーティーは実施しません。

各行事についての詳細は、掲示してお知らせしますので各々確認してください。

函館日ロ親善協会からのお知らせ
10~12月の主な活動実績

〇主だった活動はありません。

≪係りより≫

あけましておめでとうございます。
今号も学生からの寄稿が多く寄せられました。昨年に引き続き、キルギスで留学実習を行ったその報告のほか、4年ぶり対面開催のアカデミックリンクの感想、弁論大会出場の感想など盛りだくさんです。
コロナの制限が解除され、多くのことが対面で動き始めたことを実感した1年でした。2024年はどんな1年になるでしょうか。まずは来る2月10日の「はこだてロシアまつり」に向けて学生・教職員一同一丸となって皆様をお迎えしたいと思います!今年もどうぞよろしくお願いいたします。(福尾)