学報 "МИЛЛИОН ЗВЕЗД"

学報"МИЛЛИОН ЗВЕЗД"

No.94 2018.1 "Миллион звезд" ミリオン・ズビョースト/百万の星

ソ連・ロシアで迎えた新年の思い出/ロシア極東連邦総合大学函館校 准教授・学務課長倉田 有佳

 初めてソ連旅行をしたのは、大学2年の時だ。当時は個人でのソ連旅行はできなかったため、日ソ協会が主催する「日ソ友好の船」に参加することにした。1980年代初め、ソ連を旅行する学生など少数派で、若者が目指す海外は「アメリカ」だった。
 両親は、「船で」ソ連に行くことに良い顔をしなかった。というのも、数年前に起きた「バイカル号殺人事件」(女子大生が船内で船員に殺され海中に投棄された事件)が頭をよぎったからだ。
 ウラジオストクは閉鎖都市だったため、「横浜~ナホトカライン」の時代だった。今回はチャーター船ということで、新潟からの出港だった。上越新幹線開通1年前のことである。
 ソ連時代のパスポートコントロール・税関検査はとにかく厳しかった。中でもナホトカは厳しいと聞かされており、女性の方が仕事に忠実だから、男性係員の列に並んだ方がいい、など助言してくれる人もいた。この前年にはソ連のアフガニスタン侵攻があり、正に「冷戦」の時代だった。
 無事検査を終え、外に出るとバスに乗せられた。「ナホトカ駅」ならぬ「太平洋駅」のプラットホームにバスが横付けされるまでの所要時間はわずか数分。出発までの時間、長いプラットホームのはずれまで歩いてみた。線路の向かい側には木造平屋の一軒家があり、高い木の枝に下がっている手作りブランコが見えた。これで先ほどまでの緊張感が一気に和らいだ。
 外国人専用の国際寝台列車は貸し切り状態で、一路ハバロフスクへ出発。夜行列車のため、外の景色はほとんど見えない。同じコンパートメントに寝ないで外をじっと眺めている男性がいた。「自分が作った線路を見ておきたいから」、と答えてくれたが、シベリア抑留者の気持ちに寄り添うにはまだ若すぎた。
 一夜明け、「ハバロフスク駅」に到着した。アムール川沿いの「インツーリストホテル」で一泊し、翌朝、空港からグループごとに目的地に向け飛び立った。これがソ連旅行の定番だった。
 この時のタシケント、サマルカンド、ブハラ、ヒワを巡る「中央アジアの旅」を皮切りに、ソ連国内をあちこち旅行した。その思い出は尽きないが、今回はソ連・ロシアで迎えた新年の思い出を断片的に綴ってみたい。
 そもそも、年末年始をソ連で過ごそうなどという奇特な日本人とはどんな人たちだったのか。世界中を旅し尽くした熟年夫婦もいたが、大半は身軽な独身者だった。「寝正月で終えるのはもったいない、でも実家に帰って家族と新年を迎えるのは面倒だ」、といった人もいれば、「ソ連の新年は誰とでもキスできるから毎年参加している!」、と豪語する中年独身男性もいた。好奇心旺盛な若者たちは、「ソ連の」新年を体験してみたくて参加していた。女子は少しばかりおしゃれなワンピースに着替え、ホテルのレストランに集合した。
 ソ連時代のレストランには大音響で演奏するバンドが付きものだった。飲み食いよりも、音楽に合わせて踊ることを楽しんでいたようだ。
 いよいよクレムリンのスパスカヤ塔の時計(モスクワ時間ではなく現地時間)が12時を指し、鐘が鳴り出すと、立ち上がってシャンペングラスを傾け、「新年おめでとう!」を連呼する。この直前、大晦日の恒例行事として、時の最高指導者の演説が行われることは、ハバロフスクの知人宅でテレビを観ながら新年を迎えるまで知らなかった。
 この親切なロシア人一家にはずいぶんお世話になった。ある年は、レーニン広場に連れて行ってもらった。巨大なヨールカ(もみの木)と大きな雪の滑り台が名物で、それを目当てに大勢の家族連れがやって来ていた。当時10歳だったイゴール少年と一緒に滑った爽快感は、今なお忘れられない。向い側の高層ビルの大きな電光温度計がマイナス25度を示していた。
 時代はソ連から「ロシア」へ。舞台はモスクワに移る。大学寮の8平米の部屋に、仲良しの美奈、ソチ出身で英文学専攻のリーナ、カルムィク人で民族学専門の大学院生ジーナを招き、4人で簡素に祝った。暖房の十分効いた部屋に飽き、新鮮な空気を吸いに屋外へ出ると、余りの寒さに酔いが一気に醒めた。周囲は森。足元から堅くしまった雪がきゅっきゅっと響いた。
 ウラジオストク時代の大晦日では、エリツィン大統領の突然の退任表明が忘れられない。友人のスヴェトラーナさんに誘われ郊外のダーチャに行ったはいいが、この重大ニュースで気もそぞろとなり、何を食べ、どう過ごしたのか全く記憶に残っていない。
 最後にモスクワから一時帰国中、久々に母と二人で過ごした日本での大晦日の思い出について一言。紅白歌合戦も終わり、12時を迎えた。母に向かって「あけましておめでとう」、と言うと、返ってきた言葉は、「日本の新年は1月1日の朝。『おめでとう』のあいさつは、元旦の朝、家族がそろったところでするもの」。
 いずれも15年から30年以上前のことだが、当時の知人・友人たちの顔、そしてロシアの厳しい冬の情景が懐かしく思い出される。イゴール少年は、その後ハバロフスクの大学で日本語を専攻したと聞く。ロシア美人のリーナは結婚相談所で知り合ったイギリス人と結婚し卒業後に渡英。ジーナは学位を取得したが研究職には就けず、故郷エリスタで化粧品販売員の道を選んだ。ソ連崩壊後の混乱期をたくましく生きた二人。
 かつてソ連・ロシアで新年を共に迎えた仲間たちにとって、この新たな年が平安で幸多き一年となりますように!

学務課おしらせ

卒業試験日程

1.ロシア地域学科4年生は、下記の日程で国家試験を行います。

国家試験3月 1日(木)
卒業論文審査会3月 2日(金)
2.ロシア語科2年生は、下記の期間内で卒業試験を行います。
 2月27日(火)~3月9日(金)
3.ザチョットは、以下の日程で行います。

出席率不足の学生は

 本校は出席率80%以上が期末試験の受験資格となっています。出席率が低かった学生は受験資格を得るため担当教員の指導を受けてください。

日本学生支援機構奨学金
継続願・適格認定説明会

 1月11日(木)14:40より、5番教室にて卒業年次以外の奨学生全員を対象に説明会を行います。都合により参加できない学生は、説明会開始前までに事務局学務課に申し出てください。
 この説明会に参加せず、継続願を提出しない学生は、新年度4月からの奨学金は貸与されません。

石館とみ奨学金審査会

 3月15日(木)石館奨学金選考審査会を行います。この日の審査の対象となる学生は、3月12日(月)の教授会において奨学生候補生に選ばれ選考審査会へ推薦された学生です。候補生となった学生には、3月12日(月)夕方、本人へ通知しますので、学校が指定した日時に登校し、選考審査会と準備について、事務局で説明を受けてください。この説明会と選考審査会には学生本人が出席しなければなりません。

パスポートの取得について

 今年、留学実習に参加する、あるいはJT海外インターンシップ等を希望し、ロシアへの渡航が予想される学生で、現在パスポートをもっていない人は、3月~4月の春休み中には必ず申請してパスポートを取得しておいてください。なお、ロシアへの渡航には、パスポートの有効期限は、申請するビザの出国期限より6ヶ月以上必要です。渡航前にしっかりとチェックし、必要な場合は更新しておきましょう。

お知らせ

第20回はこだてロシアまつり

 2月10日(土)11時~15時に開催します。まつりのテーマは「ロシアまつり~二十歳~」です。
 1998年から毎年開催している「はこだてロシアまつり」が今回で記念すべき20回目を迎えます。
 まつりは、極東大函館校オリジナル版のマースレニッツァから始まります。寸劇や学生が歌う歌で賑やかに盛りあがり、寒く暗い冬に別れを告げる儀式として、冬の象徴であるモレーナ(体長2メートルのわら人形)に火を放ちます。
 屋内会場では、好評のロシアカフェ、かわいいロシア雑貨の販売、民族衣装試着体験、はじめてのロシア語教室や、チェス体験、学生コーラスグループ「コール八幡坂」によるステージショーに、寸劇、学生発表、そして今年はご来場いいただいた皆様に楽しんでいただける20周年記念企画もご用意しています。ぜひ、みなさんお揃いでお越しください。
 なお、当日は駐車場が使用できませんので、公共交通(市電・バス)をご利用ください。
第20回はこだてロシアまつり

卒業証書授与式等案内

 平成29年度第23回卒業証書授与式は、次の通り挙行します。
○卒業証書授与式
 日時:3月17日(土)午前10時
 場所:本校3階講堂

○卒業式リハーサル
 卒業式前日の16日(金)10時より講堂で行います。卒業予定者と送辞担当者は必ず出席してください。

○自治会主催 卒業生を送る会
 17日(土)卒業式終了後に講堂で開催します。

○同窓会パーティー
 17日(土)18:00より市内ホテルにて開催します。
  ※卒業式、自治会送別会、同窓会パーティーは、学生全員参加となっています。
 各行事についての詳細は、掲示してお知らせしますので各々確認してください。

短信

第10回 АБВГ—Day

 11月8日(水)ロシア語学習促進と発表の場としての言語まつりАБВГ‐Day(アー・ベー・ヴェー・ゲー・デー)が開催され、函館校の学生のほか、留学中のロシア人学生4名が参加しました。
 個人発表部門では、学生たちが日ごろ学習している言語(日本人学生はロシア語、ロシア人学生は日本語)で3分~5分ほど発表を行い、チーム対抗部門では4つの混合チームに分かれてゲーム形式で言語知識を競い合いました。
 その結果は以下のとおりで、落語をロシア語に翻訳して発表したロシア地域学科1年生の平原さんは2位入賞のほか、ロシア領事賞も受賞しました。

第1位 ロシア地域学科2年 工藤さん
 発表「ロシアのフィギュアスケートについて」

第2位 ロシア地域学科1年 平原さん
 (極東亭リョーバ)落語「時ソバ」古典

第3位 ロシア地域学科4年 金子さん
 発表「古のポストカード第3章」

芸術賞 ロシア地域学科4年 大平さん
 歌唱「ゲット・アウト!」

2018オリジナルカレンダー販売中

 昨年作成したオリジナルカレンダーが好評だったため、今年は学生が撮影したものも含めて作成しました。昨年同様ウラジオストク・サンクトペテルブルク・モスクワの三都市に加え、日露青年交流事業で学生が派遣されたエカテリンブルク、さらに全道ロシア語弁論大会の副賞で学生が訪れたユジノサハリンスクで撮影した写真も加えました。
 本校事務局で1部500円にて販売中のほか、2月10日(土)のロシアまつりでも販売します。収益は「第20回はこだてロシアまつり実行委員会」に繰り入れ、学生の活動に役立てます。
 詳細はホームページhttp://www.fesu.ac.jp/をご覧ください。