学報 "МИЛЛИОН ЗВЕЗД"

学報"МИЛЛИОН ЗВЕЗД"

No.85 2015.10 "Миллион звезд" ミリオン・ズビョースト/百万の星

「読むこと、書くこと」/ロシア極東連邦総合大学函館校総務課長大渡 涼子

  
  子どものころ、読みたい本があると母が1冊ずつ買ってくれた。「家なき子」、「小公子」、「宝島」……。家には当時流行の少年少女文学全集などという豪華なものはなかったので、1冊読み終わると、次はこれが読みたいと申告して買ってもらっていた。こうして本を読むことが好きになった。

  はじめて文というものを書いた記憶は小学校に入学するころ。当時、函館市で新1年生になる子どもには、ベンケイ綿という会社の社長さんから、たしか100円が入金された自分名義の通帳が贈られた。貯金をしましょう、という篤志活動だったと思う。ひらがなを覚えた私に母はお礼状を書かせた。便箋がなかったので、白い紙に十円玉をあてて円をいくつも書き、その中に一文字ずつひらがなを埋めていった。「べんけいのおじさん、ありがとう」。

  小学校に入った私は、作文が大好きになった。誰に言われることもなく、日々起こったことやその感想を原稿用紙1枚ほどに書いて、担任の女性の先生に見せた。今度は作文の書き方の本を買ってもらい、熟読した。お料理を作って失敗したこと、トイレを我慢したことなど、どうでもいいようなことばかり。その中で出来がいいと、先生はクラスの人数分を印刷して配ってくれた。それが嬉しくて、私はどんどん作文を書いた。

  2年生に上がる時に転校してしまったので、作文を書いて学校に持っていくことはなくなったが、中学校に入ると国語の授業で全員が作文を書かされた。その中から選ばれて市内のコンクールに出品されると賞をもらったりするので、調子に乗ってまた書いた。

  ある時新聞に、直木賞作家・朝井リョウさんの受賞後エッセーが掲載された。「世界と向き合う武器」というタイトルで、小学校の先生がクラス全員の日記に毎日赤ペンでコメントを返してくれた話が載っていた。流れるような赤文字で、少し高いところから感想を書く先生は世界でたったひとりの「読者」だった。やがて、自分で書いた小説を読んでほしいと思った朝井さんは原稿用紙100枚ほどの小説を書き、小学校の卒業式に便箋3枚におよぶ、先生からの感想を受け取る。それはいつもの赤ペンの続け字ではなく、きれいな黒い文字で書かれていた。文章を間に挟めば、自分と違うと思っていた先生が「先生と生徒」ではなく、ひとりの人間同士として自分と向き合ってくれる、これはすごい武器を手に入れた、と一人興奮したそうで、それが朝井さんの小説の原点であると書かれていた。 もちろん直木賞作家と自分を比ぶべくもないが、これを読んだ時「私と同じだ!」と思った。小1の頃、担任の先生が子どもの文章をきちんと読んで評価してくれたおかげで、自己を確立でき、今の自分があるという気がした。その気持ちを伝えたいと思い、転校して以来会ったことのない先生に宛てて、三十数年ぶりの手紙を書いた。その後私がどうして過ごし、今何をしているか。朝井さんの記事と、私が生れてはじめて原稿料をいただいて書いた、新聞の記事を添えて。とても感謝しています、と。そして先生もまた、そのことを喜んで返信をくれた。

  いくつになっても読むこと、書くことは自分を形成する大切な行為だと思う。学生のみなさんも、今は忙しいと思うかもしれないが、社会に出るともっと忙しくなる。この時期にたくさん読んで、自分の言葉で書いてほしいと願う。

留学実習

ウラジオストク留学実習

  9月3日(木)より、ロシア語科2年生の1名とロシア地域学科3年生の3名、計4名がウラジオストクにて留学生活を送っています。
  学生たちは1ヶ月間、もしくは3ヶ月間本学付属の外国人のためのロシア語学校で勉強をします。
  語学だけでなく現地で学び得るたくさんのことを吸収し、帰国するよう願います。

学務課お知らせ

АБВГ-Day開催

  11月11日、第8回АБВГ-Day(アーベーヴェーゲーデイ)を開催します。これは学年問わず全学生が集う「言語のお祭り」です。函館校で学ぶ日本人学生はロシア語で、本学より留学中のロシア人学生は日本語で日ごろの学習の成果を発表しあいます。
  学年の垣根を取り払い、学習成果を試し、かつ舞台度胸をつけるチャンスです。すぐに準備にとりかかりましょう。

冬季休業

  今年度の冬季休業は、12月14日(月)から1月8日(金)までです。
期間中、平日は事務局での各種手続き、図書室の利用は可能ですが、12月29日(火)~1月5日(火)は、年末年始休業のため校舎を閉鎖します。
 後期授業再開日は1月12日(火)です。

お知らせ

合同公開講座『函館学』でデルカーチ副校長が講演します

  函館市内の8高等教育機関が加盟するキャンパス・コンソーシアム函館では、毎年「函館学」を実施しており、本年度は、「新幹線時代のまちづくりへ」を共通テーマに置いています。本校からは、デルカーチ・フョードル副校長が「ロシアの大動脈シベリア鉄道 -開通と都市の発展」について講演します。

日時 : 10月24日(土)
13時30分から15時
場所 : 函館市民会館 小ホール

※申込は、キャンパス・コンソーシアム函館事務局までお願いします。
 電話:0138-44-4211

ロシア人留学生が来函します

  今年も、ロシア極東大学留学生支援実行委員会の招きにより、ウラジオストク本学で日本語を学んでいる学生が函館校に留学します。日本語を学び、日本文化を体験するこの事業は今年で19回目を迎えました
  留学生は、ホストファミリー、函館校の学生との生活を通して、生きた日本語や、実際に日本を訪れなければわからない日本の文化・習慣を直接肌で感じ取ります。
  函館校の学生は留学生と合同授業が行われ、また、一緒に学校行事に参加します。積極的に話しかけ仲良くしてください。
期間 : 10月29日(木)~11月18日(水)
留学生のお名前 :
  グリヤ・ナスレッディーノワ(3年生)
  ユリヤ・トカチューク(2年生)

第18回はこだてロシアまつり開催

  今年度の「はこだてロシアまつり」は、来年2月11日(木・祝)に開催する予定です。当日のプログラムについては、詳細が決まり次第、ホームページでお知らせします。

第2回オープンキャンパス終了

  去る9月27日(日)に第2回オープンキャンパスを実施しました。今回は、本年度最後のオープンキャンパスということで、遠くは九州からもお越しいただき、計12名の参加者をお迎えすることができました。
  イリイナ准教授による1年生の模擬授業では、参加者のみなさんを前に、日頃の学習の成果を披露しました。
  学生自治会役員3名からは、学校行事や学生生活について写真と共に紹介しました。副会長で、ロシア地域学科2年の小泉さんが全般的な説明を行い、書記で、ロシア地域学科2年の奥山さんが、日頃の授業の様子や学生サークル「コール八幡坂」についてロシア語で紹介しました。
  今年2度目となったJT夏季短期インターンシップの結果については、会計担当で、ロシア地域学科2年の高橋さんが、自分の体験と感想を含めて紹介しました。


▲自治会書記の奥山さんがロシア語で学校紹介

  教職員および在校生との懇談では、ピロシキ(ロシアのパン)とロシアンティーを楽しみながら、毎日の出席が非常に大事であること、ロシア語の授業のこと、学校行事のことなど、日々の学校生活について話題となりました。参加者のみなさんは、本校での学校生活を具体的にイメージし、安心することができたのではないかと思います。
  最後の写真撮影は、突然の雨のため室内で行い、記念品としてロシアのミニ絵本が贈呈され、全てのプログラムが終了となりました。

学生からの投稿

「北方四島交流事業」報告 ロシア地域学科 2年 山本 実里奈

  私は8月28日から9月1日に実施された四島交流訪問事業で国後島へ行った。
  北方四島の訪問は、それぞれの島で暮らす人々と交流し相互理解を深め、北方領土問題の解決を促進するねらいがある。自分の参加する目的は、今まであまり考える機会がなかった北方領土問題について他の学生たちや参加者たちと意見を交換することで領土問題について知ること。また、島の様子を写真に収めたり、島のロシア人と交流したりすることだ。
  根室を出発し、国後島に到着したのは15時ごろだった。その日の夕方に文化会館で歓迎のコンサートが開かれ、ロシア民謡を披露してくれた。一体何曲演奏してくれるのかなと思い10曲くらいまで数えていたが、途中で知っている曲があり、それを歌っているうちに何曲だったか忘れてしまった。15曲以上は演奏してくれたと思うが、アコーディオンのソロ演奏に感動した。
  次の日は島内の学校を視察した。最も印象に残っているのは幼稚園の視察だ。子供たちを喜ばせるために廊下や部屋の壁に大きな絵が描かれていた。それに設備も素晴らしく子どもたちのことをよく考えていると思った。ダンス講習や絵画教室、子供たちとのゲーム大会では楽しく交流することができた。じゃんけん列車やしっぽ取りゲームをしたときとても盛り上がったので、今後子供たちの間で流行するような気がした。意見交換会では良い異性の基準や結婚観などの話題で盛り上がった。
  食事には毎回、黒と白のパンと赤くて甘くてぬるい飲み物が出てきた。赤い飲み物はおいしかった。正直出てくる料理には期待していなかったがどの料理も想像していたよりおいしく、毎回おなかいっぱいになるまで食べた。ぜいたくを言えばもうすこし卵を食べたいと思った。
  国後島ではビザなし交流の中のさらに限られた場所と時間の中でしかこのような交流ができないのが残念だった。早く領土問題が解決に向かうよう願っている。


▲国後島でのロシア人との交流の様子

JT奨学金夏季短期インターンシップ ロシア語科 1年 宮川 佑介

  このたび幸運にもインターンシップに参加させていただき、初めてロシアに行くことができ、私がまず、最初に思ったことは「やっぱり広い!」ということでした。
  最初にモスクワに到着した時、「あぁ、コレがロシアの空気か」と思ったのも束の間、 今度はサンクトペテルブルグへの飛行機に搭乗、そして日本からの国際線では外を見られなかった私が見た景色はまさに一面の大平原。
  日本だったら山あり谷あり、そして川あり海ありですが、平野平原の合間にたまに森と川、一つの景色がこれほど続くのは海を除いて、見たことがありませんでした。
  そして大変恥ずかしいのですが、私はサンクトペテルブルクで迷子になりました。2日目の自由行動の時に、「周りを軽く歩いて見よう」と思い立って、地図も持たずに出かけました。20分ほどで駅に着き、しばらくしてから帰ろうと思いましたが、辻一本間違えたせいで思わぬ方向に出てしまい、さらにさ迷うこと4時間。もう参ったとタクシーに乗ったらなんと15分もかからずホテルへ戻れました。とんだお笑い草だと自嘲してしまいました。


▲JTIペトロ工場で

  モスクワでは頻繁に地下鉄に乗る機会がありましたが、そのひと駅間が長く、「東京 なら間に1駅、2駅あってもおかしくない」なんてつい考えてしまいました。
  訪問した企業での体験はもちろん大きいものでしたが、それ以上にロシアという国の大きさに、ただ感動と驚きを感じるばかりでした。

ロシア地域学科 2年 奥山 茜

  今夏、私はJT奨学金のインターンシップに参加し、 ペテルブルクとモスクワで3社の企業訪問のほか、両日本センター訪問やモスクワ市立教育大で日本語を学ぶ学生との交流をしてきました。企業訪問では、JTI ペトロ工場、東洋トランス、双日にてそれぞれの企業に関する質問や、ロシアで働き、生活してみてどうか、といった質問をさせていただきました。日本で働くのとはわけが違いますから、それぞれ苦労する点も多いようでしたが、やりがいも随分あるのでは、と思いました。
  学生交流では、函館校でのサークル活動「コール八幡坂」について発表を行いました。上手くいったとは言えませんが、ネットでなく直に同年代のロシア人と話せる機会は限られているので、私のつたないロシア語で精一杯交流をさせていただきました。
  自由時間には、美術館やスーパーマーケット、カフェに足を伸ばしロシア人の生活を観察してきました。経済制裁を受けながらも、ロシアの経済はそれほど悪くないようでした。なぜかというと、自給が見直され輸入品の代用が多く市場に出回るようになったからです。店内も明るく清潔で、日本製品は洗剤やおむつなど、値段もロシア製品と比べて3倍ほどでしたが、質もその分高いそうです。
  今回初めての海外ということで不安なことばかりでしたが、頼りになるメンバーと、優しいロシア人のおばあちゃん、親切にしてくれたホテルのポーターさんに助けられ、ロシアの魅力を見つけることができました。そして、貴重な経験を得る機会を下さったJT をはじめとする関係者の方々に感謝します。

ロシア地域学科 2年 髙橋 由

  私はこの夏、JT夏季休暇短期インターンシップに参加させていただきました。初めてロシアを訪れるということで、不安が少なからずあった反面、楽しみだという思いもありました。
  企業訪問をする機会が何度もありましたが、ロシアで働くということやロシアの経済・商業、会社の事業内容などについて現地の方からお話を伺えたのは、とても有意義で貴重な体験となりました。私はそのような分野について熟知していたわけではなかったので、ためになることばかりでした。今後に活かせることのできる内容だったと確信しています。
  インターンシップの期間中、自由時間があり観光をしました。私が今回訪れたサンクトペテルブルクとモスクワは多くの緑に囲まれているという印象を受けました。また、観光名所はどれも美しく、見応えのあるものばかりでした。
  併せて、ロシア料理も十分に楽しめました。カーシャ、シャシリク、ブリヌイなど、言葉を耳にしたことがあっても現地で食べた経験のないものが多々ありました。それらを食べることができたのは、私にとって良い収穫でした。気に入った料理が多く、非常に満足できました。
  今回、ロシアという異国の地を訪れ、ロシアに対する愛着が更に湧いたと実感しています。このような機会を与えてくださり、心より感謝いたします。


▲高橋さんが気に入ったロシア料理の一つ