学報 "МИЛЛИОН ЗВЕЗД"

学報"МИЛЛИОН ЗВЕЗД"

No.42 2005.1 "Миллион звезд" ミリオン・ズビョースト/百万の星

雪の朝には/ロシア極東連邦総合大学函館校 学生係柴田 知恵

冬の日のある朝。起床し、いつものようにカーテンを開けようと窓に近づく。開けるその一瞬前、カーテン越しでも窓の外がやけに白くまぶしいのがわかる。ガラス越しにカーテンの隙間から、昨日より重たい感じのする冷気が部屋の中に伝わってきている。
 そんな朝にはカーテンを開けて見て確認する前からもう、こんな光景が目に浮かぶ。  
  "ふわふわの白い雪が向かいの家の屋根、木の枝、電線、通りにも積もっている。すぐそばの道路では、車がいつもよりもノロノロと動いている。近所の人たちは、帽子に手袋、マフラーと、すっかり冬の格好をして自宅前を雪かきしている。" 何十年間も函館で冬を繰り返し過ごしてきたせいだろう、寝起きでスッキリしていない頭でも反射的にそんなことが浮かぶものだ。
  そして、カーテンを開けると案の定、ふわふわと雪が積もっている。窓ガラスを通して、冷気がどっと流れ込んでくる。こんな朝は、目でも肌でも、本格的な冬の暮らしが始まったと実感する。
  窓の外からぱっと目に飛び込んでくる白い景色には、毎度のこと少し驚かされる。新鮮な感覚にしてくれるのだ、その「白く塗られた」感じというものは。それに日向と日陰では、光の当たり具合で同じ雪でも、青白かったりオレンジ色だったりするのが面白い。

  ところで、周りを白で囲まれる不思議な感覚を、雪が積もらない地域の人は分かるだろうか。吹雪ではなく視界の良い晴れた日でも遠近感が無くなりそうな変な感じと、そんな雪の中で自己主張する色の鮮やかさを、どう感じるのだろう。私は風景の中にある色が、冬と色彩が溢れる他の季節とでは違うように感じる。白い雪の光のせいなのか、いつもの色がより鮮やかに見え、それらのお陰で安心と安全を与えられることがある。真っ白な視界の中で、色の情報はとても有難いものだ。またそこだけ切り取ったように浮き上がって見える感覚も楽しませてくれる。白い風景に溶け込まない独立した情報だ。例えば白く大きい画用紙に小さく絵をかいたら余白が目立つ。余計な情報がない分、その絵に注目するような感じの浮き方で、目を惹く。

  毎朝私は通勤で、赤レンガ倉庫群のそばを通る。先日急に気が付いたが、あのレンガ色が雪に映えて本当にかわいらしく、とても暖かい印象だ。暖炉や、クリスマスのクッキーで作った家を連想した。(クリスマスツリーやサンタが飾られていたためなのか。)そして、絵本の挿絵のようだとも思った。何十年も見慣れている場所だからと特に注目もせずにいた。何だか今までの冬は損をした感じだ。

  話は戻るが、私は雪が積もった朝には、景色を楽しむばかりではない。しばらく窓の外を見て、これを「諦め、受け入れ、腹を据えよう」と努めてもいる。雪は手間も時間もかかる生活をくれる。もちろん雪かきを含む、雪対策に時間がかかる。歩くのにも時間がかかる位だ、ただでさえ短い冬の一日はさらに短くなる。でも、手間だ、時間がかかるといって腹を立てても焦ってみても、そんなものは本当に、全く何の役にも立たない。それなら、雪のお陰で自分でも気が付かぬ何かを学んでいると信じてみる。
  そんな風な、忍耐・辛抱・無抵抗の生活も、やがて雪がとけて、ひょっこり春がやって来て終わる。だからか私は、雪解け水にはいい印象しかない。「なんとか自分なりにこの冬をしぶとく生き抜いた。よくやった!よく辛抱した!」と、ロシアでもなくただ道南・函館でひと冬越しただけなのに私はうれしいし、非常に喜ぶ。なにしろ寒さが大の苦手のせいもある。

  命をかけて冬を過ごして芽を出し根を張り始めた草・木・球根たち。動物も冬毛ではなくなる。本当に冬には「殖ゆ」春には「張る」んだなぁと感じる。こんな風に辛抱も喜びも、どちらが欠けても成り立たないし、引き立たないと思う。雪にも厳しさ、はかなさなどがなければ、そのきれいさに目をやる事もないのだろう。

学生からの投稿

留学を終えてロシア地域学科3年 茂木知佳

 函館から新潟へ行くのに汽車で9時間以上かかる。その道のりも、荷物の準備も全てが嫌だった。毎日行きたくないと思い準備もぎりぎりまでしなかった。でも、ウラジオストクに着き、見覚えのある景色を見て、楽しかったことが蘇ってきた。私は、1昨年、ウラジオストクに3ヶ月滞在した。辛い思いも怖い思いもした。しかし、それ以上に新しい出会いや日本にいてはできない体験を含め、楽しいことがたくさんあった。

  寮の同じ階には主に中国人、韓国人、日本人が生活している。寮内や授業で友達になれる。私は、前回も今回も日本人のクラスに入れられたため、友人は、ほとんどが日本人であったが、日本の各地から来ているし年齢も違うので、とても有意義であった。生まれ育った地(函館)から外に出たことのなかった私にとっては、そこでの出会いは新鮮で学ぶことが多かった。同じ出会いでも日本で会うのと比べると、同じ目的で、同じ環境に暮らしているためか、仲良くなるのが早いように感じた。一緒に買い物に行ったり、週末には皆で食事をしたりした。前回出会った人とは1年半以上経つが、今でも連絡を取り合っている。

  ウラジオストクでの生活では苦労することがたくさんある。もちろん、言葉が最大の壁だ。
  私は、なかなか単語を覚えることができない。それに、日本語が通じる相手には日本語で話したほうが手っ取り早いと思ってしまうし、恥ずかしさが先にたちロシア語で話す気になれない。どうしても甘えてしまう。しかし、その甘えが許されないのもウラジオストクでの生活である。甘えが通用しないということを数多く経験させられた。買い物も寮母さんとの会話も授業での会話も、自分の意思を伝えたいと思ったらロシア語で話すしかない。ウラジオストクでの生活は、自分の甘えとの闘いといっても過言ではなかった。

  一昨年の留学時にこんなことがあった。部屋の下水道管から水が漏れていることに気がついたのです。ロシア語を勉強し始めてわずか1年しか経っていない私にとっては、見なかったことにしようと思うほど衝撃的な出来事であった。数分間その場に立ち尽くしてしまった。我に返って和露辞典と睨めっこし、寮母さんに知らせるための文章を作った。でも、寮母さんのところへ行き、口頭で伝えようとしたが、不安と緊張で声が震え言葉にならなかった。結局、書いていったメモを見せることになった。するとすぐに伝わり、その場をしのぐことができた。ほっとすると同時に、嬉しかったが、自分のロシア語の力のなさに落ち込んでしまい、この後何事も起こらないことを毎日祈った。
  このような1去年の自分と比べれば、今回は、2回目ということもあり、気持ちに余裕が生まれ、言葉の壁は克服できた。気がついてみれば、ロシア語で積極的にコミュニケーションを行っている自分がいた。

  ウラジオストクでの生活で克服できたのは言葉の壁だけでなく、生活全般に余裕を持てたことが大きい。ウラジオストクでは、年に2回お湯の止まる時期がある。5、6月頃と9、10月頃の2度である。 
  1昨年私が寮にいたのは4、5、6月で5月半ば突然お湯が出なくなった。それから1ヶ月半にわたりお湯が出なかった。
 初めはどうなるかと思ったが、出ないものは仕方がないと諦めた。昨年の私の滞在期間は9、10月。寮に着いた日にはすでにお湯が止まっていた。1昨年の留学で経験済みであったのですんなり現実を受け入れることができた。今回も1ヵ月半出なかったが、お湯のない生活も意外に何とかなることを実感した。
  授業にも積極的に参加できた。1ヶ月が過ぎた頃から、ロシア人学生が日常受けている日本語の授業に、週2回出席した。自分が受けている授業とは全く楽しく、ロシア語でどのような表現を使うのかがよく分かり、勉強になった。また、そこで、ロシア人の友達を作ることもできた。友達ができたことによって口にするロシア語も自然と増えた。

  このような生活に加え、週末には汽車で郊外に出かけ山登りをしたり、ロシア人の家に遊びに行ってロシア料理を作ったり、ナイトクラブに行ったりもした。
楽しいことばかりであった。2ヶ月はあっという間に過ぎてしまった。毎日が充実していて本当に楽しかった。今回のウラジオストク留学で得たものは、言葉では言い表すことができないほどである。私にさまざまな影響を与え、成長させてくれた。
  またいつか必ずウラジオストクに行きたいと思う。

特別寄稿

函館日ロ親善協会の平成16年の活動を振り返って函館日ロ親善協会 専務理事 松本満隆

 当協会にとって、平成16年は特別な年でありました。それは、協会が設立されたのが平成元年6月30日であり、平成16年6月30日をもって設立15周年を迎えたからであります。この15年の間、設立の目的であります「日ロ両国の交流の進展と地域の発展に寄与すること」の実現のために現在までその活動を続けてまいりました。
  ここで、現在の当協会の概要及びおかれている環境に少し触れてみたいと思います。

  第1に、構成と会費ですが、会員数は111名で、その中で運営は、会長1名、副会長4名、専務理事1名、理事17名、幹事2名、顧問9名、事務局長1名で行われております。また、年会費は個人一口3,000円以上、法人一口10,000円以上、団体一口10,000円以上となっております。

  第2に、当協会は他の協会と比べて目的に沿った活動が非常にし易い環境に恵まれているという大きな特徴があります。
  それは、函館市にロシア極東連邦総合大学函館校があり、常に連携できること、また外国人登録をされているロシア人の方々が大学の先生とその家族の皆さんを中心に16名居住されており、協会の行事にはほとんどの方の出席をいただき、親睦を常に深めることができることです。

  第3に、札幌にロシア連邦総領事館があることにより、協会の親睦会開催時には総領事のご出席をいただき、ロシアの様々な最新情報に接する事ができ、加えて昨年9月19日に函館市民の長年の思いがようやく実現し、在札幌ロシア連邦総領事館函館事務所が開所となり、当協会にとって益々親睦と情報収集の機会が多くなった事です。

  次に、平成16年の主な事業を振り返ってみたいと思います。

  • 協会設立15周年記念事業としてパンフレット「函館日ロ親善協会15年の歩み」を製作することとし、4月中旬に完成し5月の定期総会に配布いたしました。
  • 5月12日協会の定期総会・親睦会及びサプリンロシア総領事をお迎えし総領事の送別会を開催。
  • 6月8日来函したユジノサハリンスク市公式訪問団の歓迎昼食会を協会主催で開催。
  • 12月15日恒例のクリスマス・パーティーの開催。在函ロシア、ウクライナの方々20名を含め多数の会員の出席をいただいた。
  • その他数多くの共催事業・支援事業を行っております。

  最後に、当協会が15年もの間事業を継続できましたのも、函館市を始め会員の皆様及び関係各位のご支援とご指導をいただいたからこそと存じ、運営に携わる役員の一員として衷心より感謝申し上げますとともに、今後ともよろしくお願い申し上げ終わりとします。