学報 "МИЛЛИОН ЗВЕЗД"

学報"МИЛЛИОН ЗВЕЗД"

No.33 2002.10 "Миллион звезд" ミリオン・ズビョースト/百万の星

個 性/事務局次長田畑 聡文

黒澤明は、生前、自作映画「白痴」(ドストエフスキー原作;昭和26年松竹)の撮影の舞台となった冬の札幌について、まるでヨーロッパのような街並みだったと語っている。そして、「現在はすっかり個性を失ってしまった」とも。
 黒澤は、当時、ロシア国内での撮影を考えていたが、夢かなわず、札幌を撮影の場に選んだ。なるほど、映画「白痴」には、結果として、主演女優の原節子以上に、戦後間もない札幌の美しさが封印されているような気がする。
 札幌では、この数年来、JR北口が再開発され、現在、来春の竣工に向け、タワーホテル、デパートからなる駅ビルが造られている。無機質なコンクリートで固められたタクシーヤードなどは、東京近郊の都市の駅前と似ており、確かに表情に乏しい。黒澤が今この風景を見たならば、果たして何と言うだろうか。
 ドストエフスキーやトルストイなど、ロシア文学を愛した黒澤は、この後も、江戸時代の長屋を舞台とした、「どん底」(ゴーリキー原作;昭和32年東宝)など、幾多の名作を発表し続け、監督降板の失意の時を経た後、ついに、極東ロシアの地で「デルス・ウザーラ」を製作、発表する。(昭和50年)
 晩年の作品において、黒澤は撮影前のイメージを絵コンテとして残している。かつて、画家をめざしていたからであろうか、その豊潤な色づかいには驚かされる。
 しかし、私は「白痴」や「七人の侍」をカラーのリメイクで見たいとは決して思わない。それは、モノクロの画面によって、白い花や雪が一層清楚に見え、日の光が一層まぶしく感じられるからである。色の無い画面が逆にヨーロッパの街並みのたたずまいを感じさせてくれる。皮肉なことに晩年の黒澤映画はカラー作品によってリアリテイを無くし、個性を失ったのだと思う。
 それにしても、函館は色にあふれた街である。私が日々、職員室から眺める風景は、何と素晴らしいことか。この風景はモノクロでは撮りたくない。
 先日、人気ドラマのロケが八幡坂であり、役者が坂を上ってきた。港には船が無く、キャーキャー叫ぶ女子高生は、制服姿で地面に座り込む。少し悲しい。

第5回はこだてロシアまつり

函館市民の皆さんにロシアを知って好きになってもらおうと平成10年にはじめたこのまつりも5回目となりました。 今年のテーマは「ロシアのアニメ」。皆さんご存知の「チェブラーシカ」だけでなく、楽しくてかわいいロシアのアニメをいろいろなかたちで紹介します。もちろん毎年人気のロシア料理レストラン、ステージ発表などもあります。
日 時:
  平成14年11月9日(土)10:00〜15:00
予定されている催し物:
 ロシア料理レストラン・喫茶店
 パネル展・キオスク
 ステージ発表(バンド演奏・合唱・ロシア人留学生による歌など)